来週の金融市場見通し(2024年7月1日~2024年7月5日)

2024/06/28

■来週の見通し

ボウマン米連邦準備理事会 (FRB)理事が、「政策金利の引き下げが適切だという段階にはない」と述べるなど、FRB高官の早期利下げに慎重な発言が相次ぎ、FRBが時間をかけて利下げ開始時期を見極めるとの観測が広がっています。他方、円安が進行する中、日銀が早めに追加利上げに動くとの観測も浮上しています。来週は、28 日発表の 5 月の米個人所得・個人消費支出(PCE)を受けた米国市場の動向やFRB高官の発言に加え、日銀短観なども確認しながら方向感を探ることになりそうです。

◆株価 : 重要な経済指標を受けて激しい値動きに

来週の株価は、米国の重要な経済指標やFOMC議事要旨の発表が予定されているほか、今週末にはフランスの下院議会選挙(第 1 回投票)や米PCEの発表が予定されており、結果を受けて値動きが激しい展開になるとみられます。一時的に大きく値を下げる場面も想定されます。ただ、国内企業の株主還元の動きが拡大していることや新しい少額投資非課税制度を活用した個人投資家の買付額が増加しており、下落幅は限定的となりそうです。

◆長期金利 :国債入札で需給を確認

FRB高官の利下げに慎重な発言を受け、米金利が上昇したことや、円安進行を受けて日銀の追加利上げが意識されたことから、長期金利は週末に一時 1.085%まで上昇しました。ただ、日銀が実施した国債買入れオペで、需給の引締まりが示されたことから、低下する動きになりました。米金利の動向や金融政策に対する思わくに左右されますが、10 年国債、30 年国債入札で一定の需要が確認されると、金利の上昇圧力が後退しそうです。

◆為替:堅調地合い継続も様子見姿勢広がるか

ドル円は、堅調な展開が続きそうです。米インフレ圧力は緩やかながら低下しているとみられ、市場では年内 1、2 回程度の利下げ観測が根強い状況です。そのため、米長期金利の上昇余地は限定的とみられますが、日米の金利差は引き続き強いドル買い要因になるとみられることから、ドル円の堅調な地合いに変化はなさそうです。とはいえ、日銀のドル売り介入警戒感が高まる中、6 月の米雇用統計の発表を控え、様子見姿勢が強くなる可能性があります。

◆Jリート :方向感を探る 

来週のJリート市場は、引き続き国内外の金利動向を注視しつつ、方向感を探る展開となりそうです。植田総裁が 7 月の金融政策決定会合における追加利上げの可能性に言及して以降、長期金利の上昇が継続しているほか、米国の長期金利も上昇しています。とはいえ、不動産市場の環境に大きな変化は見られず、引き続き金利上昇による下押し圧力と、割安感や分配金利回りに着目した買いが交錯する展開が続きそうです。

来週の注目点

日銀短観(6 月調査) 7 月 1 日(月) 8 時 50 分発表 

3月調査の日銀短観では、大企業・製造業の業況判断指数(DI)がプラス 11、同・非製造業がプラス 34 と、昨年 12 月調査に比べ、それぞれ2ポイントの悪化、2ポイントの改善となりました。製造業は品質不正問題による自動車生産の減少が重しとなる一方、非製造業については訪日外国人観光客の増加が景況感を支えました。

6 月調査の業況判断DIは、大企業の製造業、非製造業ともに3月調査からおおむね横ばいとなりそうです。非製造業は、引き続き訪日外国人の増加やレジャー需要の回復が景況感を支え、高水準が継続するとみられます。

米雇用統計(6 月)   7 月 5 日(金) 21 時 30 分発表

5 月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比27 万 2,000 人増となり、市場予想を大幅に上回りました。平均時給は前月比 0.4%増と、前月から伸びが加速するとともに、前年比でも 4.1%増と伸びが加速しました。他方、失業率は 4.0%と前月から上昇しました。

これまでの米連邦準備理事会(FRB)の利上げによる影響が広がりつつあるものの、当面、米労働市場は堅調な推移が見込まれます。6 月の非農業部門雇用者数は前月比18 万 8,000 人増程度、平均時給は同 0.3%増程度、失業率は 4.0%程度を想定しています。 

 

図表、スケジュール入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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