来週の金融市場見通し(2024年4月15日~2024年4月19日)

■来週の見通し

3 月開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨で、利下げに慎重な姿勢が示される中、3 月の米消費者物価指数(CPI)が1月、2月に続き市場予想を上回り、米連邦準備理事会(FRB)による早期の利下げ観測は一段と後退しました。米長期金利上昇を受け、円安が進行したことから、日銀が利上げに動くとの思わくも浮上しています。日米の金融政策をめぐる思わくに振らされていますが、FRB高官の発言に加え、国内の3月の全国消費者物価指数(CPI)なども確認したいところです。

◆株価 : 高水準の株価を維持

今週の日経平均は、米長期金利の上昇を嫌気し弱含む場面もありましたが、円安進行が支えとなり上昇しました。来週は、目立ったイベントはないため、高水準の株価を維持しそうです。新しい少額投資非課税制度(NISA)を活用した個人の買いが増加しているほか、先週は外国人投資家も日本株を買い越しており、日本株の需給は良好です。ただ、日銀が円安を抑制すべく為替介入を行うと、円高が進行し、株価を押し下げる可能性があります。

◆長期金利 :神経質な動き 

国内の 10 年債利回りは、3 月の米CPIが市場予想を上回り、早期の米利下げ観測が一段と後退し、米金利が大きく上昇したことを受け、0.8%台に上昇する動きになりました。円安進行を受けて、日銀が利上げに動くとの思わくも、国内金利を押し上げた模様です。年内の米利下げ回数は3回の織り込みから、2回以下に下がっていますが、1回あるかないかとの見方も出てきており、日米の金利は不安定な状況が続く可能性があります。

◆為替上値余地模索

ドル円は、じりじりと上値を模索する展開が見込まれます。主要な米インフレ指標は、インフレ圧力が再度高まっていることを示唆しており、今年見込まれている米利下げ開始時期が後ずれすることに加え、利下げ回数も減少する可能性が高まっています。そのような環境下、米長期金利は 4.5%を超える水準まで上昇しており、ドル円も 153 円台まで上昇しています。日銀の介入警戒感は強いものの、ドル円はじりじりと上値を模索する展開となりそうです。

◆Jリート :底堅い

植田日銀総裁が「当面緩和的な金融環境が継続すると考える」と述べ安心感が広がったことや、割安感からの買いも入り、強含みで推移していたものの、利益確定売りから上げ幅を縮小しました。米早期利下げ観測が後退し、日米の金利が上昇したものの、影響は限定的でした。とはいえ、資産価格と比べた割安感などから底堅く推移するとみられますが、日米の金融政策をめぐる思わくで不安定な動きになることには注意が必要です。

来週の注目点

全国消費者物価指数(3月) 4月19日(金) 8時30分発表

全国の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は2月に前年比2.8%上昇と、1月の同2.0%上昇から伸びが加速しました。宿泊料など教養娯楽費が同7.3%上昇したことがコアCPIを押し上げました。

3月のコアCPIは、前年比2%台の上昇率が見込まれます。引き続き教養娯楽費などが物価を押し上げそうです。今後も当面、賃金の引き上げに伴うサービス価格上昇の動きも踏まえれば、コアCPIの上昇率は2%程度で推移すると予想されます。

米小売売上高(3月) 4月15日(月) 21時30分発表

2月の米小売売上高は、前月比0.6%増となり、前月の1.1%減から増加に転じました。とはいえ、インフレが高止まりする中、同指標が市場予想を下回ったことで、個人消費の先行きに対する懸念も生じる結果となりました。

米国では堅調な労働市場と賃金動向を背景に、家計支出は底堅い推移が続きそうです。ただ、借り入れコストが高止まりしていること、足元、ガソリン価格が上昇していることなどが家計に影響する可能性もあります。3月の米小売売上高は前月比0.4%増程度を想定しています。

 

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