来週の金融市場見通し(2022年9月26日~2022年9月30日)

■来週の見通し

米連邦準備制度理事会(FRB)は9月20、21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、6月、7月に続き3会合連続で通常の3倍となる0.75%の利上げを決めました。一部では1%の利上げもあり得るとの見方もありましたが、大方の予想通りで利上げ幅についてはサプライズはありませんでした。ただ、政策金利見通しを想定以上に引き上げました。今後はこのより積極的な金融引締めを織り込んでいくことになります。内外の経済指標に加え、黒田日銀総裁やFRB高官の発言も確認したいところです。

◆株価 :緩やかな上昇か

日本株は、緩やかな上昇が予想されます。米国の利上げをめぐる警戒感などから内外の株価は足元下落しているものの、割安感に着目した買いが日本株を下支えする見通しです。米国の追加利上げについては相当程度、市場に織り込み済みとなっている模様であり、また、米国のインフレは今後徐々に鈍化する見通しです。それらが株価を支えるとみられますが、日米欧や中国の景気に関する先行き不安などが、内外株価の上値を抑制しそうです。

◆長期金利 :居所を探る

長期金利は日銀決定会合を前に日銀が許容する上限の0.25%に張り付いていましたが、日銀が強力な金融緩和を維持したことを受け、低下する動きになりました。主要中銀が利上げを加速させ、円安が進行する中、市場でくすぶっていた日銀の金融緩和策修正への思わくが、大きく後退した格好です。景気懸念から米長期金利の上昇も一服しており、国内の長期金利も上昇しにくくなりそうです。黒田日銀総裁の発言も確認したいところです。

◆為替 :堅調地合い継続

9月のFOMCでは市場の予想通り0.75%の利上げが決定されました。パウエルFRB議長はインフレ抑制に強い姿勢を示しており、米金融引締めは長期化するとみられます。11月のFOMCにおいても0.75%の大幅利上げの可能性が高まっており、日米の金融政策の方向性の違いを背景にドル円の堅調地合いは継続しそうです。状況によっては、日本の金融当局からの円安けん制発言が想定されるものの、その影響は限定的とみられます。

◆Jリート :底堅い動きが継続

FRBによる大幅利上げが意識され、米長期金利が上昇したことなどが重しになる中、22日にはFOMCでの大幅利上げや利上げ見通し引き上げなどを受け、東証REIT指数は一時2,000ポイントを割り込みました。ただ、押し目買いから前日比プラスに転じるなど、底堅い動きが続いています。米長期金利の上昇が一服していることや国内の長期金利も低下に転じたことは安心材料です。入国規制緩和への期待も市場を支えるとみられます。

来週の注目点

鉱工業生産指数(8月、速報値) 9月30日(金)午前8時50分発表

鉱工業生産指数は7月に前月比0.8%上昇し、96.9(2015年=100)となりました。業種別では、自動車工業、汎用・業務用機械工業などが前月比で上昇しました。中国における行動制限緩和を受け、部品などの供給不足が和らいだ模様です。

8月の鉱工業生産指数は、前月比で小幅な低下が見込まれます。引き続き部品不足の緩和が自動車生産などを支えた一方、内外の景気減速懸念などが生産を圧迫したとみられます。今年終盤以降、世界景気は一段の減速が予想されるため、生産動向は当面、一進一退となりそうです。

米個人消費支出(8月) 9月30日(金) 午後9時30分発表

7月の米個人消費支出(PCE)は、前月比0.1%増と市場予想を下回り、低調な伸びにとどまりました。また、物価指標として注目されるPCE総合価格指数は前年比6.3%上昇と、前月から伸びが鈍化するとともに市場予想を下回りました。

米国では堅調な労働市場や賃金増加が消費を支えてきましたが、高止まりするインフレが消費の伸びを抑えているとみられます。ガソリン価格は低下した一方、食品価格や家賃は高止まっており、これらへの支出が家計を圧迫しそうです。8月のPCEは前月比0.2%増程度、PCE総合価格指数は前年比6.3%程度の上昇が見込まれます。

 

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