来週の金融市場見通し(2021年12月27日~2022年1月7日)

■来週の見通し

新型コロナの新たな変異ウイルス「オミクロン株」について、重症化リスクが低いという報告が相次いでいることや、米食品医薬品局(FDA)が経口薬を承認したと伝わったことなどから、過度な警戒感は後退しています。とはいえ、感染力は強いとされており、年末年始の感染拡大には警戒が必要です。また、徐々に市場参加者が少なくなる中、荒い動きになることにも注意が必要です。コロナの動向や経済指標などを確認しながら方向感を探ることになりますが、米中対立やウクライナ情勢などにも注意が必要です。

◆株価 :緩やかな上昇基調か

日本株は、緩やかな上昇基調が予想されます。新型コロナウイルスをめぐる過度な警戒感の後退が、株価を押し上げる見通しです。米国景気の底堅さが示されていることや、円安へ振れていることも、日本株を支えそうです。ただ、米欧では感染拡大が続いており、日本でも年明け以降、感染者が顕著に増加する可能性があります。それらによる内外経済の減速懸念は払しょくできず、日本株が一方的に大きく上昇する可能性は低いとみられます。

◆長期金利 :もみ合い継続か

長期金利は、オミクロン株の世界的な感染拡大への警戒から、週初は0.035%まで低下も、その後は警戒感が後退し、0.06%程度まで上昇しました。来年度の国債発行計画では、2年債を減額する一方、10年債を年間1.2兆円、40年債を年間0.6兆円増額しました。長期、超長期国債の増額が小幅にとどまったことから、需給悪化懸念は後退しそうです。米長期金利やコロナの動向などを確認しながら、0.05%前後でもみ合う動きが続きそうです。

◆為替 : 底堅いものの方向感乏しい

ドル円は底堅い地合いの中、方向感の乏しい展開が続きそうです。世界的にオミクロン株の感染が拡大しているものの、デルタ株に対して重症化リスクは低いとみられ、足元、リスク選好の動きが優勢となっています。また、米国の強いインフレ指標を受け、米長期金利がやや上昇していることから、ドル円は底堅い地合いが続きそうです。とはいえ、年末にかけ、手掛かり材料難となっており、レンジ内で方向感の乏しい展開となりそうです。

◆Jリート :底堅い動きが継続

東証REIT指数は、前週末に大きく反発した反動や、株安を受けて投資家心理が悪化したことなどから、週初は大きく下落も、その後は投資家心理が改善し、下げ幅を縮小する動きになりました。新型コロナの感染拡大が抑制され、オミクロン株への警戒感が後退する中、米国に続き日本でも、新型コロナの経口薬が承認されるとの観測や、GoToトラベルなどへの期待は下支え材料です。ただ、年末年始のコロナの感染動向には注意が必要です。

来週の注目点

鉱工業生産指数(11月、速報値) 12月28日(火)午前8時50分発表

鉱工業生産指数は10月に前月比1.8%上昇し91.1(2015年=100)となりました。東南アジアなどにおけるサプライチェーン(部品などの供給網)の混乱がやや和らいだことに伴い、特に自動車工業が前月比で大幅上昇を示しました。

11月の鉱工業生産指数も、自動車工業にけん引され、前月比で小幅な上昇が見込まれます。ただ、半導体などの不足は解消されておらず、自動車生産などの正常化には遠いとみられます。また、アジアでも足元、新型コロナウイルスの感染再拡大が懸念されていることから、鉱工業生産をめぐる先行き不透明感は当面残存しそうです。

ISM非製造業景況指数(12月) 1月6日(木)午後24時発表

米供給管理協会(ISM)が発表した11月の非製造業景況指数は、69.1と1997年の統計開始以来、最高を更新し市場予想も上回りました。新型コロナウイルスの感染拡大は継続しているものの、堅調な消費需要を背景に企業活動が活発化していることが示唆されました。

当面、サプライチェーンの混乱や人材確保などの面で課題が残るとみられるものの、今後も堅調な個人消費や企業投資が期待できるとみられることから、12月の同指数は67.3程度を想定しています。

米雇用統計(12月) 1月7日(金)午後10時30分発表

11月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比21万人増と市場予想を下回るとともに、今年に入って最も小幅な伸びにとどまりました。また、失業率は4.2%と前月の4.6%から低下しました。新型コロナ感染者数が増加する中、同じサービス業分野でも、小売りで2万人減、娯楽・ホスピタリティで2万3,000人増など、まだら模様となりました。

足元、米国においてオミクロン株の感染者数が急増しているものの、今後も労働市場の改善は継続するとみられます。12月の非農業部門雇用者数は前月比45万人増程度、失業率は4.1%程度を想定しています。

 

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