来週の金融市場見通し(2020年7月20日~2020年7月24日)

■来週の見通し

新型コロナウイルスのワクチン開発への期待が強まる一方、米国で新型コロナの新規感染者数が高止まりしていることや、カリフォルニア州が感染拡大を受けてレストランの店内飲食などの停止を命じるなど、経済活動の再開を制限する動きが出てきていることは懸念材料です。国内では東京都で新規感染者数が過去最多となる中、22日から東京発着の旅行を対象外とした「Go Toトラベル」が開始されると伝えられ、その成否が注目されます。米中対立の激化への警戒もくすぶり、神経質な動きが続きそうです。

◆株価 :上値の重い展開か

日本株は、底堅いながらも上値の重い展開が予想されます。世界景気は少なくとも最悪期を過ぎた可能性が高く、国内外における企業業績の改善期待が株価を支える見通しです。また、新型コロナウイルスのワクチン開発への期待も追い風となりそうです。ただ、新型コロナウイルスについては全国的に感染が拡大しており、外出自粛ムードが再び国内経済を圧迫する可能性もあります。そのため、株価の上値を積極的に追う動きは限られそうです。

◆長期金利 :低位もみ合い

日銀は金融政策決定会合で大規模な金融緩和を維持しました。黒田日銀総裁は、超長期金利の過度な低下は経済活動に悪影響を及ぼす可能性があるとし、超長期金利の上昇を容認する姿勢を示しましたが、イールドカーブ(利回り曲線)全体を低位に安定させることが最も重要とも述べたことから、金利上昇は限定的となりそうです。新型コロナの感染再拡大への警戒も長期金利の上昇を抑制しそうです。20年国債入札も確認したいところです。

◆為替 : 方向感乏しい

ドル円は中長期的には緩やかな下落を想定しているものの、短期的には方向感を見出せないでしょう。米国では新型コロナウイルスの新規感染者数の増加により、一部州では経済活動の再制限や再開延期を余儀なくされています。来週も米景気回復期待と同ウイルスの感染拡大への警戒感がせめぎ合い、レンジ内で方向感の乏しい展開が続きそうです。また、米中対立や同ウイルスのワクチン開発の進展具合にも注目です。

◆Jリート :方向感を探る

新型コロナ収束後の分配金回復への期待などから買いが入る一方、感染再拡大を警戒した売りにも押され、Jリート市場は一進一退の動きが続きました。「Go Toトラベル」から東京都が除外されましたが、旅行需要が拡大すると、安心感が広がる可能性があります。東京都については感染が落ち着くようになったら実施する方針のようです。「Go Toトラベル」の成否や新型コロナの感染状況を確認しながら、方向感を探ることになりそうです。

来週の注目点

全国・消費者物価指数(6月) 7月21日(火)午前8時30分発表 

日本の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は5月に前年比0.2%低下と、4月と同じマイナス幅になりました。原油安によるガソリン代や電気代の下落のほか、外出自粛や外国人観光客の減少に伴う宿泊料金の下落なども、CPI低下の要因となりました。  

足元、原油価格の反発などに伴い物価下落圧力はやや和らいでいるため、6月のコアCPIは前年比0%(横ばい)が見込まれます。ただ、一段の原油高は限定的とみられる上、新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、旅行や娯楽などを控える姿勢は根強く残りそうです。そのため、コアCPI上昇率が持続的に高まる可能性は低く、当面0%前後で推移する見通しです。

ユーロ圏製造業PMI(7月)  7月24日(金)午後5時発表

マークイットユーロ圏総合PMIは、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、急激に悪化した4月を底に、5月に続いて6月も改善し、48.5となりました。また、注目の製造業PMIも同様に5月に続き6月も改善し、47.4となりました。

依然、拡大縮小の分岐点である50を割り込んでいるものの、ユーロ圏では段階的に経済活動を再開していることから、サービス業、製造業とも回復を見せています。しかし中期的には、感染第2波の懸念は大きく、欧州復興基金の創設も見通せない中、その力強さや持続性については慎重にならざるを得ません。

 

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