来週の金融市場見通し(2020年7月6日~2020年7月10日)

■来週の見通し

6月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が前月から480万人増と統計開始以降で最多となるなど、米景気の回復を示唆する経済指標が相次いでいます。もっとも、米国では新型コロナウイルス感染者数が急増しており、ニューヨーク市がレストランでの店内飲食の再開延期を決めるなど、米経済の正常化が遅れるとの懸念もくすぶります。東京都でも感染拡大が懸念されます。しばらくは新型コロナの感染動向に加え、香港をめぐる米中の対立や新型コロナのワクチン開発への思わくなどに振らされる展開が続きそうです。

◆株価 :弱含みの展開に

日本株は、やや弱含みの展開が予想されます。日経平均株価は3月下旬につけた安値から約35%上昇しており、利益確定売りに押されやすい相場になりそうです。新型コロナについては日米などで感染が再拡大しており、国内で外出自粛ムードや部分的な営業規制が再び強まる可能性もあります。ただ、主要国の積極的な景気対策や、為替が総じて安定していることを踏まえれば、日本株が一方的に下落するとは考えにくい状況です。

◆長期金利 :上昇は限定的か

日銀が6月末に発表した7月の長期国債の買入れ予定で、残存期間が10年以下の国債については買入れ額が増額されたものの、10年超は据え置かれたことから超長期債の利回りが上昇し、長期金利も一時0.055%まで上昇しました。もっとも、プラスの利回りには買い需要も根強く、その後、長期金利は低下する動きになりました。3日の10年国債入札は無難な結果に。7日の30年国債入札が順調な結果になると、落ち着きを取り戻しそうです。

◆為替 : レンジ継続か

主要国が経済活動を再開しつつある中、世界景気の回復期待と新型コロナの感染再拡大への警戒感がせめぎ合っています。また、ドル、円とも避難通貨として強弱が拮抗していることから、日経平均株価とドル円の動きの相関性は弱まっており、方向感を見出しにくい状況が続いています。とはいえ、米長期金利の上昇余地は極めて限定的であると思われることから、ドル円の上値は重く、徐々に下値を模索する展開となるでしょう。

◆Jリート :引き続き押し目を拾う

新型コロナの感染再拡大への懸念から売りに押されたものの、相対的に高い分配金利回りに着目した買いなどから底堅く推移し、東証REIT指数は1,700ポイントを上限にしたもみ合いが続きました。日銀は大幅な金利上昇は望んでいないとみられることから、やや不安定な動きになっている長期金利が落ち着いてくれば、安心感が広がりそうです。引き続き、新型コロナの感染動向などをにらみながら、押し目を拾うことになりそうです。

来週の注目点

景気ウォッチャー調査(6月) 7月8日(水)午後2時発表 

景気ウォッチャー調査の現状判断DIは、5月に前月差7.6ポイント上昇の15.5となりました。依然、極めて低い水準であるものの、5月14日に30県で、25日に全国で緊急事態宣言が解除されたことから、家計動向関連、企業動向関連、雇用関連のすべてのDIが上昇しました。

6月の現状判断DIも上昇が予想されますが、引き続き、「良い・悪い」の境目である50を大幅に下回る見込みです。営業再開が進む中、消費は回復傾向にあるものの、新型コロナウイルスの感染が再拡大する動きもみられます。そのため、外出自粛ムードの長期化が見込まれ、景況感の正常化には程遠い状況が続きそうです。

ISM非製造業景況指数(6月) 7月6日(月)午後11時00分発表

米供給管理協会(ISM)が発表した5月の非製造業景況指数は、4月の41.8から上昇し、市場予想を上回る45.4と、約2年ぶりの大幅上昇となりました。

新型コロナウイルスの世界的大流行の影響で急激に悪化したサービス業が、段階的な経済活動の再開を受け、前月から持ち直した形になりました。6月は50.0と更なる改善を想定していますが、足元、米国各地で同ウイルスの感染者数は増加しており、再度経済活動が制限される懸念が高まっていることから、サービス業の持続的な回復についてはまだまだ予断を許しません。

 

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