来週の金融市場見通し(2020年6月1日~2020年6月5日)

■来週の見通し

政府は27日に新型コロナウイルス感染拡大に対応する第2次補正予算案を閣議決定しました。欧州連合(EU)でも加盟国を支援するため7,500億ユーロの復興基金を設ける計画が打ち出されるなど、各国が経済の下支えに動いています。他方、中国が全国人民代表大会で、米国が批判していた反体制活動を禁じる「香港国家安全法」の制定方針を採択しました。今後、米中の対立が深刻化することには注意が必要です。国内では緊急事態宣言解除後の経済活動再開の動きや新型コロナの感染動向を確認したいところです。

◆株価 :上値の重い展開を予想

日本株は、上値の重い展開が予想されます。5月25日に緊急事態宣言が全国で解除されたことなどが好感され、日経平均株価は一旦、大幅に上昇しました。追加的な経済対策への期待も株価の支援材料となりました。ただ、経済活動の再開は段階的で、国内の景気回復基調が鮮明になるのは年後半とみられます。また、香港情勢などをめぐる米中対立も投資家心理を圧迫しそうです。そのため当面、様子見姿勢が広がるものと見込まれます。

◆長期金利 :ゼロ%付近でのもみ合い継続

長期金利は大型連休明け以降、ゼロ%付近での動きが続いています。今年度の第1次、第2次補正予算により、国債の市中発行額は59.5兆円増と大幅な増額となります。もっとも、市場では大幅な増発は織り込み済みだったこと、日銀が国債を積極的に買い入れる方針を示していること、また米連邦準備制度理事会(FRB)が金利を低く抑える方策を検討していることは、金利の上昇を抑制しそうです。低位もみ合いが続くとみられます。

◆為替 : 方向感乏しい動き

足元、ドルと円はともに逃避通貨として市場で意識されていることから動きは拮抗しており、ドル円は方向感を見出しにくい状況が続いています。そんな中、日本は緊急事態宣言を解除し、他の主要国とともに段階的に経済活動を再開していることから市場はやや楽観的になっています。しかし一方で、米中対立激化の懸念は強く、ドル円はどちらにも動きにくいと思われます。来週も狭いレンジの中、方向感の乏しい動きが継続しそうです。

◆Jリート :上昇余地を探る

緊急事態宣言が全面解除されたことを受け、市場心理が改善し、週央まで東証REIT指数は8営業日続伸するなど堅調な動きになりました。経済活動が再開する中、観光やショッピングなどが回復するとの期待が広がり、ホテル系や商業施設関連に買いが入った格好です。木曜日は反落したものの、週末には1,700ポイントを回復しました。堅調地合いが続くとみられますが、利益確定売りに加え、米中対立に振らされることには注意が必要です。

来週の注目点

家計調査(4月) 6月5日(金)午前8時30分発表 

家計調査によると、実質消費支出(二人以上の世帯)は3月に前年比6.0%減と6か月連続で減少しました。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛により、特に外食、娯楽、宿泊などの消費が減少しました。

4月の消費支出は、より大幅な減少が見込まれます。4月7日に緊急事態宣言が発出されたため、これに伴う休業などの影響で、消費の減少がさらに顕著となりそうです。緊急事態宣言は5月25日に全面解除されたものの、新型コロナウイルスへの警戒感は当分残存しそうです。そのため年内の消費支出は、前年比減が続く見通しです。

米雇用統計(5月) 6月5日(金)午後9時30分発表

4月の米雇用統計において、非農業部門就業者数は前月比2,053万7,000人減と過去最大の驚異的な減少幅となり、また、失業率は前月の4.4%から14.7%へ急上昇しました。一方、平均時給は前月比4.7%上昇となりましたが、これは低賃金労働者の大量失業によるものです。

新型コロナウイルスの感染拡大による行動制限などから特に飲食、サービス等の分野が大きな影響を受けていますが、今後もすべての業種にわたり雇用状況の更なる悪化が見込まれます。5月の非農業部門就業者数は前月比800万人減程度、失業率は19.7%程度が想定されています。

 

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