来週の金融市場見通し(2020年4月20日~2020年4月24日)

■来週の見通し

3月の米小売売上高は前月比で過去最大の落ち込み、3月の米鉱工業生産指数は74年ぶりの大幅低下となるなど、米経済指標が急速に悪化しています。中国の1-3月期の国内総生産(GDP)も1992年以降で初めてマイナス成長になりました。他方、トランプ大統領が、感染の少ない地域から経済活動の再開を認める指針を発表したことはやや前向きな材料。新型コロナウイルスの治療薬への期待もくすぶります。新型コロナの感染動向に加え、景気対策や決算発表などを確認しながら、方向感を探ることになりそうです。

◆株価 :方向感を欠く展開か

日本株は、方向感を欠く展開が予想されます。欧米では、新型コロナウイルスの感染ペースが鈍化しつつあり、経済活動の制限措置が徐々に解除されるとの期待が広がっています。そのような期待から内外の株価が上昇する場面もあり得ますが、新型コロナの感染動向や世界景気の先行きは、まだ極めて不確実です。そうした中、各国の経済指標や企業業績などで想定以上に極端な悪化が示された場合には、日本株も下落を余儀なくされそうです。

◆長期金利 :もみ合い継続

新型コロナウイルスの感染拡大が鈍化し、その後の経済活動再開の目途が立ってくると、リスクオン(選好)から、安全資産とされる国債を売る動き(価格下落、利回り上昇)が強まり、長期金利が上昇することも想定されます。国債増発観測も金利の押上げ材料です。もっとも、日銀は金融緩和姿勢を強め、国債買入れを増額しており、金利上昇は限定的とみられます。感染動向や経済指標などを確認しながら、一進一退の動きが続きそうです。

◆為替 : ドル円は徐々に下値を模索

新型コロナウイルス感染拡大の影響で米国景気指標の下振れが続くものの、トランプ大統領が段階的な経済再開指針を発表したことで市場はややリスク選好に傾いています。日米株価が堅調に推移すればドル円の下支え材料になるものの、各国中銀の対応によってドル需給が落ち着いていることや、米長期金利の上昇余地は限定的なことから、ドル円の上値は重いと思われます。レンジ内の動きながら徐々に下値を探る展開を想定しています。

◆Jリート :底堅い

新型コロナウイルスの影響がリートに与える影響を見極めたいとの雰囲気が広がり、積極的な売買は手控えられる中、米経済指標の悪化を受けて投資家心理が冷え込み、東証REIT指数は一時1,500ポイントを割り込みました。ただ、その後は割安感などから堅調な動きに。テナントの賃料減免への懸念は重しながら、予想分配金が若干下振れしても、予想分配金利回りは相対的に高い水準を維持するとみられます。底堅い動きが続きそうです。

来週の注目点

全国・消費者物価指数(3月) 4月24日(金)午前8時30分発表 

日本の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は2月に前年比0.6%上昇と、1月(同0.8%上昇)から上昇率が縮小しました。原油安によるエネルギー価格(電気代・ガス代など)の下落などが背景です。

3月は、コアCPI上昇率のさらなる縮小が見込まれます。原油価格が一段と下落していることに加え、新型コロナウイルスの感染拡大を受けたサービス需要の減少が、物価の下振れ圧力を強めた模様です。こうした状況は当分続く可能性が高いことから、コアCPI上昇率は、今年中にマイナスに転じる可能性もあります。

米耐久財受注(3月) 4月24日(金)午後9時30分発表

2月の米耐久財受注は、全体で前月比1.2%増となり、また、設備投資の先行指標となる航空機など輸送機器を除く非国防資本財(コア資本財)受注は市場予想を下回り、同0.6%減となりました。

同指標は新型コロナウイルスの感染拡大が需要に大きな影響を与える前の段階で、すでに企業の設備投資が低調だったことを示唆しています。新型コロナの感染拡大の影響を受け、経済活動が世界的に停滞していることから、同指標は今後大きく下振れしそうです。

 

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