来週の金融市場見通し(2020年3月9日~2020年3月13日)

2020/03/06

■来週の見通し

米連邦準備制度理事会(FRB)は3日、新型コロナウイルスが経済活動に与えるリスクが高まっていることを背景に、緊急利下げを決定しました。政策金利を0.5%と大幅に引き下げたにもかかわらず、利下げではウイルスの感染拡大は防げないとの見方などから、投資家心理は改善しませんでした。ただ、17、18日の定例の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5%の利下げを織り込むなど、更なる利下げを催促する動きは続いています。欧州中央銀行(ECB)がマイナス金利の深掘りなどに動くかも確認したいところです。

◆株価 :不安定な動きが継続

日本株は、安値圏で推移しつつ、変動性の高まる場面が頻発しそうです。新型コロナウイルスに伴う肺炎が世界中に広がる中、各国の経済・企業業績に対する影響は不可避とみられます。これを投資家は極度に警戒し、株式などリスク資産から国債などへの逃避が加速しています。そのため、ウイルスの感染拡大が鎮静化し、各国の経済活動が平時の状態に戻るまでは、リスク資産への投資を積極化しにくい状況が続く見通しです。

◆長期金利 :低位もみ合い

新型肺炎の感染拡大への警戒が米国で一段と強まり、米長期金利は一時1.24%と過去最低を更新する中、国内の長期金利も一気にマイナス0.16%程度まで低下しました。投資家のリスク回避から安全資産とされる国債に資金が流入した格好です。米金融市場が3月の米利下げをほぼ100%織り込んできていることも、日米の長期金利を押し下げ。米長期金利の動向や金融政策をめぐる思わくなどに振らされながら、もみ合う展開になりそうです。

◆為替 : 下値を探る

現状、米国経済は欧州や日本と比して相対的に堅調なことから、ドルは基本的には底堅いと思われます。しかし中国で発生した新型肺炎はイタリアをはじめ、世界中に拡散しており、製造業や物流など実体経済に多大な悪影響が出ています。また、株価が世界的に大きく調整していることもあり、ドル円の上値は重く、レンジ内ながらも新型肺炎関連の情報に振らされながら、徐々に下値を探る展開となりそうです。

◆Jリート :底堅い

東証REIT指数は大幅下落となりました。新型肺炎の感染拡大への警戒が一段と強まる中、内外の株価が急落したことで投資家心理が悪化し、これまで堅調な動きが続いていたJリートは、利益を確定する動きが一気に広がった格好です。景気の先行き不透明感は重しながら、Jリートの予想分配金利回りは3.8%強まで上昇し、長期金利との利回り差も4%に近い水準です。過度な売りが一巡すると押し目を拾う動きも出てきそうです。

来週の注目点

景気ウォッチャー調査(2月) 3月9日(月)午後2時発表 

景気ウォッチャー調査の現状判断DIは、1月に前月差2.2ポイント上昇の41.9となりました。特に、家計部門(小売、住宅など)において景況感改善が示されました。

2月のDIは、低下が予想されます。新型コロナウイルス感染症は、2月以降、発生地の中国に加え、日本を含む多くの国に拡大しています。これに伴い、中国人旅行客の減少、中国向け輸出の不調、国内における各種イベントの中止、などが、企業部門・家計部門ともに当面の景況感を圧迫する見込みです。

米消費者物価指数(2月) 3月11日(水)午後9時30分発表

米国の消費者物価指数(CPI)は、1月に総合で前年比2.5%上昇し、市場予想を上回りました。また、食品とエネルギーを除くコアCPIは同2.3%の上昇と前月並みの伸びとなりました。ガソリンなどエネルギー価格や中古車価格などの下落が顕著だったものの、住居費は比較的堅調でした。

これまで底堅い個人消費が米国景気をけん引してきましたが、総じてインフレが抑制された状態が継続する中、世界中に拡散した新型肺炎による悪影響は多大であると想定され、今後の動向は要注意です。2月は総合で前年比2.2%、コアで同2.3%程度の上昇を想定しています。

 

図表、スケジュール入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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