来週の金融市場見通し(2020年1月27日~2020年1月31日)
■来週の見通し
世界保健機関(WHO)は23日、中国で発生した新型コロナウイルスの感染拡大について、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の宣言を見送りました。とはいえ、24日から中国では春節(旧正月、30日まで)の連休が始まったことから、感染の拡大が警戒されます。他方、ピークを迎える米企業の決算発表に加え、国内でも本格化している決算発表で、業績底入れが確認できるかが注目されます。
◆株価 :神経質な展開に
日本株は、神経質な展開が予想されます。足元、特にアジアでは新型コロナウイルスの影響が懸念されており、被害が拡大した場合、日本株の下落圧力となりそうです。ただ、ウイルスによる世界経済への影響は、限定的なものにとどまるとの見方が現時点では有力です。相場のトレンドをみる上では、本格化する国内企業決算などの方が重要で、市場予想を上回る決算が相次いだ場合、日経平均株価は2万4千円台を回復すると見込まれます。
◆長期金利 :ゼロ%付近で居所を探る
米中の貿易問題をめぐる懸念が後退する中、世界経済の底入れへの期待が広がり、長期金利は0.005%まで上昇。ただ、新型コロナウイルスによる肺炎の人から人への感染に対する警戒が強まったことから、安全資産とされる国債が買われ、長期金利は一時マイナス0.03%まで低下しました。来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)は政策金利据え置きの見込み。新型肺炎の感染動向や米長期金利をにらみながら、居所を探ることになりそうです。
◆為替 : レンジ内で振らされやすい展開
米中貿易協議について第1段階の合意がなされ、ドル円は基本的には底堅く推移することが見込まれます。しかし、足元、中国で発生した新型コロナウイルスによる影響がどの程度広がるか現状不透明なことから、短期的にはリスク回避の円買いも発生しやすく、予断を許しません。感染者がさらなる広がりを見せれば、高値圏にあったドル円の格好の売り材料となることも考えられ、108円台半ば程度までの下押しはありそうです。
◆Jリート :2,200ポイント手前での攻防
東証REIT指数は、利益確定売りに押される場面があったものの、総じて堅調な地合いが続きました。新型肺炎への警戒から長期金利が低下したことも、Jリートを押し上げました。日銀、欧州中央銀行(ECB)に続き、来週のFOMCも現状維持の見込みで、金融政策では内外の金利は動きにくい状況が続きます。Jリートの予想分配金利回りは3.5%強と依然として相対的に高い水準で、一進一退の中、戻りを探る動きが続きそうです。
■来週の注目点
鉱工業生産指数(12月、速報値) 1月31日(金)午前8時50分発表
鉱工業生産指数は10月に前月比4.5%低下と大型台風の影響もあり大幅に低下した後、11月は同1.0%低下し、97.6(2015年=100)となりました。輸出の低迷などを受け、生産指数は2013年以来の低水準となっています。
12月の生産指数は、前月比上昇に転じる見通しです。ただ、在庫調整の動きなどに圧迫され、小幅な上昇にとどまる見込みです。よって四半期ベースでは、10-12月期は前期比低下が見込まれ、これらに伴い10-12月期の実質国内総生産(GDP)もマイナス成長となりそうです。
米個人消費支出(12月) 1月31日(金)午後10時30分発表
11月の米個人消費支出(PCE)は、前月比0.4%増と前月の伸びを上回り、またPCE価格指数は総合で前年比1.5%上昇と市場予想を上回りました。
米連邦準備制度理事会(FRB)の物価目標には及ばないものの、米中貿易摩擦の影響で製造業の軟調や企業投資の落ち込みが見られる中で、個人消費が米経済を下支えしている構図です。昨年の年末商戦も好調が伝えられており、12月の個人消費支出は前月比0.3%増、PCE価格指数は総合で前年比1.5%程度の上昇を想定しています。
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