来週の金融市場見通し(2020年1月13日~2020年1月17日)

■来週の見通し

投資家の不安心理を表し恐怖指数と呼ばれるVIX指数は、中東情勢の悪化前の水準まで戻っています。来週は、15日に米中が第1段階の貿易合意に署名する予定です。中国による米農産品の購入や知的財産権の保護強化などが盛り込まれるとみられます。中東情勢に加え、米中貿易問題への警戒もひとまず後退していますが、米中については中国の知的財産権保護の強化などが合意通りに進まないと、再び対立が激化する可能性も残ります。他方、本格化する米企業の2019年10-12月期決算も確認したいところです。

◆株価 :小幅な上昇を予想

日本株は、小幅な上昇が予想されます。15日に米中が貿易問題に関する合意文書を署名する公算となり、それに対する期待が世界的な株価を支えそうです。また、年初に緊迫化した米国とイランの関係は、ひとまず沈静化しています。ただ、米中の署名後は材料出尽くし感が広がるとみられるほか、中東情勢への警戒感は依然として残っています。そのため、日経平均株価が2万4千円台に乗せる場面では、上値が重くなりそうです。

◆長期金利 :ゼロ%付近で居所を探る

米国とイランの対立激化への警戒感が強まり、長期金利は一時マイナス0.045%まで低下しましたが、軍事衝突への警戒感が和らぎ、9日にはゼロ%まで上昇しました。米中貿易合意の署名が滞りなく行われると、安全資産とされる国債が売られ、長期金利が上昇することも想定されます。もっとも、合意署名についてはほぼ織り込んでいることに加え、プラス圏に浮上した場合には、買いが広がることも想定され、金利上昇は限定的とみられます。

◆為替 : ドル高基調も上値は限定

米中貿易協議が第1段階の合意に至り、15日に両国首脳による署名が予定されていることから、リスク選好のドル買いがやや優勢です。とはいえ、合意内容の詳細は今後発表されることから、内容によっては多少振らされる可能性はあり、また、材料出尽くし感から、下値への警戒は必要と思われます。一方、米国とイランの関係は、いったん沈静化していますが、対イラン制裁の動き等、今後の展開については引き続き要注目です。

◆Jリート :戻りを探る

東証REIT指数は長期金利の上昇や投資家心理の悪化を受け、売りに押されました。ただ、週後半は押し目買いも入り、底堅い動きになりました。昨年12月末の東京都心のオフィス空室率は4か月連続で低下、平均賃料は72か月連続で上昇するなど、オフィス市況は引き続き好調さを維持しています。Jリートの予想分配金利回りは3.6%程度と相対的に高い水準です。長期金利が落ち着いてくれば、買い安心感が広がるとみられます。

来週の注目点

景気ウォッチャー調査(12月) 1月14日(火)午後2時発表 

景気ウォッチャー調査の現状判断DIは、消費税増税などの影響で昨年10月に大きく悪化した後、その反動で11月はやや改善しました。ただ、指数は節目の50を大幅に下回っており、好景気とは言えない状況です。

12月の現状判断DIについても緩やかな改善傾向が示されると見込まれますが、引き続き50を下回る公算です。昨年12月以降、米中貿易摩擦に関し緩和の動きがみられることなどから、特に製造業関連の景況感改善が予想されます。一方、家計動向関連の景況感は11月に改善したものの、増税の影響が残る中、12月は小幅な改善にとどまりそうです。

米消費者物価指数(12月) 1月14日(火)午後10時30分発表

米国の消費者物価指数(CPI)は、11月に総合で前年比2.1%上昇し、市場予想を若干上回りました。一方、食品とエネルギーを除くコアCPIは同2.3%の上昇と市場予想と一致、前月並みの伸びとなりました。

総合ではエネルギー価格と住居費の上昇が顕著で、ガソリンと燃料油が上昇しています。米国景気をけん引している個人消費は引き続き堅調に推移しているものの、新車価格は5か月連続で低下するなど、総じてインフレは抑制された状態です。12月は総合、コアともやや強めの前年比2.3%程度の上昇を想定しています。

 

図表、スケジュール入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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