来週の金融市場見通し(2019年9月23日~2019年9月27日)

■来週の見通し

欧州中央銀行(ECB)の包括的な金融緩和に続き、米連邦準備制度理事会(FRB)も2会合連続の利下げを決めました。日銀は次回会合で経済・物価動向を改めて点検するとし、追加緩和に含みを残しました。ひとまず、欧米の中央銀行への過度な金融緩和期待は一服し、金融政策に関する材料は一旦出尽くした格好です。しばらくは、米中や日米の貿易協議の動向を確認していくことになります。

◆株価 :緩やかな上昇を予想

日本株は、緩やかな上昇が予想されます。日経平均株価は2万2千円付近で伸び悩んでいますが、世界経済への過度な懸念は和らぎつつあります。こうした中、米国やユーロ圏などで金融緩和が行われており、これが当面の株式市場をサポートしそうです。また、米中の貿易問題については双方が歩み寄りの姿勢を示しており、10月に行われる協議で暫定的な合意に至る可能性もあります。さらに、円高の一服も日本株を支えるとみられます。

◆長期金利 : 上にも下にも動きにくい

日銀は、20日の国債買入れオペを減額し、イールドカーブ(利回り曲線)のベア・スティープ化(利回り上昇・急こう配化、期間が長い債券の利回りほど上昇)を促しました。黒田日銀総裁は、長期金利や超長期金利はやや低下し過ぎとみているとみられ、国内金利は低下しにくい状況です。もっとも、欧米の中央銀行が利下げに踏み切る中、日銀についても追加の金融緩和が意識されます。長期金利は上にも下にも動きにくそうです。

◆為替 : 円安地合いも動きは鈍そう

9月17-18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)において、7月に続き0.25%の利下げが決定されましたが、さらなる利下げについては米FRBにおいて意見が分かれていることが明らかになりました。それを受け、年内の利下げ期待が遠のいたことからドル円は若干底堅い動きになると思われます。一方で、現状、米長期金利のさらなる上昇は見込みがたいことから、ドル円はしばらくレンジ内での取引が想定されます。

◆Jリート :高値もみ合い

東証REIT指数は、長期金利の低下が一服する中、利益確定売りに押され一時2,100ポイントを割り込んだものの、押し目買いも入り、持ち直しました。一時マイナス0.1%半ばまで上昇した長期金利は、マイナス0.20%を下回る水準まで低下しています。当該指数は2007年8月以来の高値まで上昇しており、利益確定売りに押される場面も想定されますが、3.5%強と相対的に高い予想分配金利回りに着目した買いが下支えするとみられます。

来週の注目点

全国スーパー売上高(8月) 9月25日(水)午後2時発表 

7月の全国スーパー売上高は前年比7.1%減と、4か月連続で減少しました。消費者の節約志向が強まっている上、7月については梅雨の後ずれなど天候による影響もあり夏物商材の売上が不振でした。

8月前半は猛暑となったものの、10月からの消費税増税を控え、消費マインドは一段と慎重化しています。そのため8月も全国スーパー売上高は前年比減が見込まれ、消費の弱さが確認されそうです。

米個人消費支出(8月) 9月27日(金)午後9時30分発表

7月の米個人消費支出(PCE)は、前月比0.6%増と伸びが加速し、市場予想を上回りました。またPCE価格指数は総合で前年比1.4%上昇となり、市場予想と一致するとともに米連邦準備制度理事会(FRB)の物価目標(2%)に及びませんでした。

米中貿易戦争のあおりを受けた景気減速懸念にも関わらず、米国民が支出を抑制している兆しはなさそうです。また、食品とエネルギーを除くPCEコア価格指数は6月に引き続き前年比で1.6%上昇するなど、若干持ち直す兆しが見えています。8月のPCE価格指数は総合で前年比1.4%、コアで1.8%程度の上昇を想定しています。

 

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