来週の金融市場見通し(2019年8月26日~2019年8月30日)

■来週の見通し

ジャクソンホール会議でのパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の23日の講演を前に、カンザスシティー連銀総裁やフィラデルフィア連銀総裁から追加利下げに慎重な見方が示されました。22日の米金融市場では、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げの織り込みが若干低下する一方、0%だった据え置きの織り込み度合いが上昇しました。来週は、パウエルFRB議長が継続的な利下げを示唆すると安心感が広がる一方、利下げに慎重な姿勢が示されると、やや荒い展開になる可能性があります。

◆株価 : 方向感を欠く展開か

日本株は明確な方向感を欠く展開が予想されます。米国の利下げに対する期待がやや後退しており、米国株や日本株の上値余地は当面、限定的となりそうです。また、製造業や輸出の世界的な低迷が当分続くとみられることも、株価を圧迫する見通しです。ただ、米中貿易摩擦については追加関税の一部が12月に先送りされ、この間に交渉が進捗するとの期待も残っています。そのため、日本株の一方的な下落は考えにくい情勢です。

◆長期金利 : パウエル議長の発言次第

ジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の講演を控えて様子見姿勢が広がる中、長期金利はマイナス0.2%を下回る水準でのもみ合いが継続しました。パウエルFRB議長が継続的な利下げを示唆すると国内金利にも低下圧力が強まる一方、利下げに慎重な姿勢が示されると、金利低下一服となる可能性があります。とはいえ、米中の対立が激化し、世界景気の減速懸念が強まる中、金利が上昇しにくい状況が続くとみられます。

◆為替 : 上値乏しくレンジか

.現在、ドル円の方向を決めるポイントは、主にFRBの今後の政策運営と米中貿易協議の行方の二つです。世界経済の減速懸念から市場は米国のさらなる利下げを織り込んでいること、また、米中貿易協議の行方は引き続き混とんとしていることなどからドル円の上値は重く、一方で株式市場など資産価格は持ちこたえていることから下値も支えられています。しばらくはレンジ内での推移が継続するでしょう。

◆Jリート : 高値もみ合い、スピード調整の可能性も

東証REIT指数は8営業日続伸し、約12年ぶりの高値まで上昇しました。パウエルFRB議長が継続的な利下げを示唆すると内外の金利が低下し、Jリート市場に安心感が広がる可能性があります。仮に金利低下が一服した場合でも、金利が大きく上昇する可能性は低そうです。Jリートは大きく値を上げてきており、利益確定売りからスピード調整が入る可能性がありますが、相対的に高い利回りに着目した買いが下支えするとみられます。

来週の注目点

鉱工業生産指数(7月、速報値) 8月30日(金)午前8時50分発表 

鉱工業生産指数は6月に前月比3.3%低下し、101.4(2015年=100)となりました。ただ、四半期ベースでは4-6月期に前期比0.6%上昇となり、経済産業省は「生産は一進一退」との基調判断を据え置きました。

7月分については、小幅な低下が見込まれます。中国などアジア向けを中心に輸出が減少しているほか、国内の消費も勢いを欠いています。年後半も海外景気・国内消費ともに急速な回復は見込みにくいことから、年内の鉱工業生産は、一進一退で推移しそうです。

米個人消費支出(7月) 8月30日(金)午後9時30分発表

6月の米個人消費支出(PCE)は、前月比0.3%増と市場予想と一致し、またPCE価格指数は前年比1.4%上昇となり、米連邦準備制度理事会(FRB)の物価目標(2%)に及びませんでした。

しかし食品とエネルギーを除くPCEコア価格指数は前年比で1.6%上昇するなど、市場予想や物価目標には届かなかったものの、若干持ち直す兆しが見えています。また、個人所得が5月に引き続き6月も前月比0.4%増と増加基調で推移していることから、個人所得、個人消費とも堅調といえそうです。7月のPCE価格指数は6月同様、前年比1.4%程度の上昇を想定しています。

 

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