来週の金融市場見通し(2019年8月5日~2019年8月9日)

■来週の見通し

米連邦準備制度理事会(FRB)は、世界景気の減速や貿易政策の先行き不透明感を背景にした下振れリスクに備え、10年半ぶりの利下げに踏み切りました。ただ、翌日には利下げの効果を打ち消すように、トランプ米大統領が3,000億ドル相当の輸入品に対する対中関税「第4 弾」の発動を表明し、米中貿易摩擦への警戒が再び高まりました。来週は佳境に入っている国内企業の決算発表や4-6月期の実質国内総生産(GDP)、中国の貿易統計が注目されます。また、トランプ氏の発言には引き続き注意が必要です。

◆株価 : 上値の重い展開か

日本株は上値の重い展開が予想されます。特に米中貿易摩擦の再燃や円高の進行が、目先の株価を圧迫しそうです。とはいえ、中国製品に対する米国の関税については、今後の通商協議により引き下げられる可能性も残っています。また、貿易摩擦をめぐる不透明感を背景に米国の追加利下げ観測が高まっていることも踏まえると、足元の株価下落はやや行き過ぎとみられます。よって、日本株を買い戻す動きが優勢になる場面も見込まれます。

◆長期金利 : 米金利にらみ

長期金利は、米利下げには反応薄でしたが、週末には米中貿易摩擦への警戒から米長期金利が1.9%を割り込んだことを受け、一時マイナス0.175%と6月下旬以来の水準まで低下しました。米国で利下げ観測が強まっていること、米中貿易摩擦への警戒が広がっていることから、上昇しにくい状況が続きそうです。ただ、米金利は年内あと2回の利下げをほぼ織り込んでいることから、一段の低下も限定的とみられます。

◆為替 : ドル円は上値重い

FRBは0.25%の利下げを実施しましたが、パウエルFRB議長は「利下げサイクルの開始ではなく、今後の利下げはデータやリスク状況次第」としており、ドル円は米金利の動きを見ながら方向を探る展開となりそうです。しかし、トランプ米大統領が中国からの輸入品3,000億ドルについて新たに10%の追加関税を発表したことから、ドルの上値は乏しくリスク回避の円高が進みやすい地合いには変化がなさそうです。

◆Jリート : 2,000ポイント台での値固め

東証REIT指数は、利益確定売りに押されながらも、押し目買いも入り、2,000ポイントを超える高値圏でのもみ合いが続きました。対中関税「第4 弾」の発動表明への反応は限定的で、長期金利の低下を受け、週末は上昇する動きになりました。金利低下圧力が掛かる中、Jリートの予想分配金利回りは3.7%台と引き続き高水準。貿易摩擦の影響を受けにくいことも安心材料です。ただ、利益確定売りから上値は限定的になりそうです。

来週の注目点

GDP統計(19/4-6月期、1次速報) 8月9日(金)午前8時50分発表 

日本の実質国内総生産(GDP)は、1-3月期に前期比0.6%増(年率2.2%増)となりました。ただしこれは、輸入の大幅減により外需(輸出-輸入)がGDPに対しプラス寄与となったことが主因です。

4-6月期については、前期比0.2%増程度への減速が見込まれます。当期は輸出が伸び悩んだ一方、輸入が増加に転じた模様であるため、外需がマイナス寄与に転じる見通しです。とはいえ、大型連休の効果もあり個人消費は増加が見込まれることから、今回発表されるGDPは、極端な景気悪化を示す内容とはならない見込みです。

米生産者物価指数(7月) 8月9日(金)午後9時30分発表

米国の生産者物価指数(PPI)は6月、総合で前年比1.7%上昇となり、また、食品とエネルギーを除くコア PPIは同2.3%上昇し、市場の予想を上回りました。

基調的な生産者物価は2018年夏頃には、前年比3.4%上昇と堅調に推移していましたが、同年の後半から低下基調が鮮明になっています。米国では個人消費支出(PCE)価格指数等、消費者物価の上昇が米連邦準備制度理事会(FRB)の目標値に届いていません。川上の生産者物価指数もエネルギーの最終需要中心に減速しており、低下基調が鮮明です。7月は総合PPIで前年比1.7%程度の上昇、コアPPIで同2.0%程度の上昇を想定しています。

 

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https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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