来週の金融市場見通し(2019年7月1日~2019年7月5日)
■来週の見通し
6月29日の米中首脳会談で、米中貿易協議を再開する一方、米国の中国製品3,000億ドル相当への制裁関税発動が延期されると、市場に安心感が広がりそうです。一方、協議決裂なら、荒れた展開が想定されます。米中首脳会談の次には、7月末の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げの有無に関心が向きます。米中貿易摩擦の動向や、週末の米雇用統計などを確認しながら、米金融政策を占うことになります。
◆株価 : 米中首脳会談の結果次第
日本株は、29日に実施される米中首脳会談の結果次第となりそうです。会談を受けて貿易摩擦が一旦和らぐとの思わくが広がった場合、日経平均株価は一段の上昇が予想されます。一方、会談がやや不調に終わった場合、株価下落は避けられないと考えられます。ただ、米国などにおける金融緩和期待が市場心理を下支えするとみられるため、会談が完全に決裂しない限り、日本株の下落は限定的なものにとどまると考えられます。
◆長期金利 : 引き続き居所を探る
パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が過度な利下げ期待をけん制したことや米中首脳会談で貿易協議が進展するとの期待が広がったことから、米長期金利の低下が一服しました。国内の長期金利も、低下し過ぎへの警戒感もあり、低下幅を縮小する動きになりました。米中貿易協議が進展すると、内外の金利に上昇圧力が掛かる可能性があります。日銀が国債買入オペを減額し、金利低下を抑制するかも確認したいところです。
◆為替 : 調整の後は再びドル下落か
6月末のG20大阪サミットにおいて米中首脳会談が行われ、米国の中国に対する追加関税が延期されると伝わったことから、ドル円は108円程度まで戻しています。しかし7月は米国の利下げが想定されており、米長期金利の低下基調に変化はなく、ドル円の上値はきわめて限定的と思われます。米中首脳会談の結果次第ですが、一時的にリスク選好のドル買いが優勢になったとしてもその後は再び下落基調の推移になると思われます。
◆Jリート : 高値圏で底堅く
東証REIT指数は、中東情勢や米中貿易摩擦への警戒感が広がったことから、逃避先としてJリート市場に資金が流入したことや、相対的に高い分配金利回りに着目した買いなどから、25日には年初来高値を更新、配当込みの東証REIT指数は過去最高値を更新しました。米中貿易協議が進展すると、長期金利が上昇するとともに、逃避需要が後退し、売りに押される可能性も。ただ、押し目買い意欲は強いとみられ、底堅い推移が見込まれます。
■来週の注目点
日銀短観(6月調査) 7月1日(月)午前8時50分発表
3月調査の日銀短観(全国企業短期経済観測調査)によると、大企業製造業の業況判断指数(DI)はプラス12と、昨年12月調査(プラス19)から大幅に悪化しました。世界経済(特に中国)の減速懸念などが背景です。
5月以降に米中貿易摩擦が激化したことを踏まえると、今回発表される6月調査についても、製造業の景況感は悪化傾向が見込まれます。ただ、原油価格が一旦下落したことなどから、悪化幅は前回に比べ小幅となりそうです。また、非製造業については、大型連休に伴う特需などに支えられ、底堅い景況感が示される見込みです。
米雇用統計(6月) 7月5日(金)午後9時30分発表
5月の米雇用統計において、非農業部門就業者数は前月比7万5,000人増と市場予想を大きく下回り、また、今後のインフレ動向を占う上で重要な平均時給は前年比で3.1%上昇と市場予想を下回りました。失業率が前月同様3.6%と、49年ぶりの低水準となったものの、全体としては景気の弱さが広範囲にわたっているとの懸念が広がりました。
賃金が前年比3%程度伸びる中、個人消費は米景気を下支えすると思われるものの、5月の非農業部門就業者数が一時的な落ち込みであったのか、傾向となるのか注目です。6月は前月比16万人程度の増加が想定されています。
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