来週の金融市場見通し(2019年5月27日~2019年5月31日)

■来週の見通し

20日に発表された1-3月期の実質国内総生産(GDP)速報値が2四半期連続のプラス成長となり、10月予定の消費増税を延期するとの見方がやや後退しました。ただ、消費増税を延期し、衆参同日選に踏み切るとの観測もまだくすぶります。来週27日の日米首脳会談では、自動車などに関する貿易交渉は焦点にはならない模様です。とはいえ、米中に加え日米の貿易問題への警戒も徐々に強まる可能性があります。

◆株価 : やや軟調な展開を予想

日本株は、やや軟調な展開が予想されます。米中貿易協議をめぐる不透明感が来月以降まで続くとみられる中、投資家は株式投資に対し慎重にならざるを得ない状況です。日本の1-3月期のGDP速報値は市場予想に反しプラス成長となったものの、内需・外需ともに不安の残る内容でした。110円を割り込んだドル安・円高も株価を圧迫しそうです。ただ、米中の協議が完全に決裂しない限り、株価の極端な下落は回避される見通しです。

◆長期金利 : 低位もみ合い

トランプ米政権による華為技術(ファーウェイ)への制裁措置を受け、中国が態度を硬化させる中、米中の貿易交渉が長引くとの観測や低調な米欧の製造業関連指標を受けて世界経済が一段と減速するとの懸念が強まり、長期金利は1か月半ぶりにマイナス0.07%まで低下しました。一段の低下には警戒感も強まりそうですが、米中貿易摩擦の影響が米国の消費や企業業績に影を落とす中、国内の長期金利も上昇しにくい状況が続きそうです。

◆為替 : 方向感見定めるのは難しそう

米中貿易協議が暗礁に乗り上げ、中国側も強硬姿勢を見せています。両国の協議は継続とはされているものの、世界景気への影響懸念は大きく、米長期金利は低下傾向です。リスク回避の円買いと相まってドル円の上値は限定的でしょう。来週は日米株価が大きく崩れなければ、110円を中心としたレンジ相場が想定されますが、急落した場合は、109円割れの可能性もあります。引き続き米中貿易協議関連の情報に敏感な相場が続きます。

◆Jリート : 利益確定売りも底堅い

1-3月期のGDP速報値で、民間住宅投資が前期比1.1%増と3四半期連続のプラスを確保したことを好感し、東証REIT指数は3年1か月ぶりの高値まで上昇しました。その後は、利益確定売りも入り、一進一退の展開になりました。オフィス市況の好調さが続く中、相対的に高く安定した分配金利回りに着目した買いが、引き続き期待できます。貿易摩擦の影響を受けにくいことも買い材料。高値圏での底堅い動きが続きそうです。

来週の注目点

鉱工業生産指数(4月、速報値) 5月31日(金)午前8時50分発表 

鉱工業生産指数は3月に前月比0.6%低下し、102.2(2015年=100)となりました。輸出の低迷などを背景に、特に生産用機械工業(半導体製造装置など)、自動車工業などが低調でした。四半期ベースでは1-3月期に前期比2.5%低下と、生産の基調的な弱さが示されました。

4月については、5月の大型連休前における増産などを受け、鉱工業生産指数は一旦上昇に転じる見込みです。ただ、在庫が積み上がっていること、内需・外需ともに先行きが不安視されることなどを踏まえると、生産の力強い回復が持続するとは考えにくい情勢です。

米個人消費支出(4月) 5月31日(金)午後9時30分発表

3月の米個人消費支出(PCE)は、前月比0.9%増と市場予想を上回るとともに約10年ぶりの大幅な伸びとなりました。一方、PCE価格指数は前年比1.5%上昇となり、市場予想(同1.6%上昇)に及ばず、米連邦準備制度理事会(FRB)の物価目標(2%)を下回りました。

足元の米国景気は堅調であり、個人所得も堅調な伸びを示す中、個人消費に力強さはあるものの、インフレは盛り上がらず、PCE価格指数はFRBの掲げる2%の目標を下回っています。4月のPCEは前月比+0.3%程度、また、PCE価格指数は前年比1.5%程度の上昇を想定しています。

 

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