来週の金融市場見通し(2019年4月22日~2019年4月26日)
■来週の見通し
日米物品貿易協定(TAG)交渉が始まりました。今週に続き来週も協議が行われる模様です。他方、4月下旬で調整している日米財務相会談では、通貨安誘導を封じる為替条項が協議される可能性があります。合意がずれ込んでいる米中貿易交渉に加え、日米の交渉も要注意です。来週は10連休前となりますが、日米の企業決算、1−3月の米実質国内総生産(GDP)、日銀金融政策決定会合なども確認したいところです。
◆株価 : 10連休を控え軟調か
日本株は、やや軟調な展開が予想されます。10連休を控え、株式保有を減らす動きが広がりそうです。日経平均は年初来10%超の上昇となっており、利益確定売りも出やすい状況です。ただ、中国や米国の経済指標改善を受け、世界経済への悲観はひとまず和らいでいます。そのため、海外の金融市場は連休中も大きな混乱なく推移するとの見方が増えています。よって連休前の日本株下落は、限定的なものにとどまりそうです。
◆長期金利 : 日銀にらみ
長期金利は17日には一時マイナス0.01%と1か月半ぶりの水準まで上昇。ただ、翌日には株安を受け、低下に転じました。週末には日銀が残存期間10年超の国債買入れを減額し、超長期債の利回り低下を抑制しました。米長期金利の上昇が一服していることや、日銀が一段の金利低下を抑制したことから、国内金利は低下しにくい状況。25日の黒田日銀総裁の記者会見で、超低金利長期化に伴う副作用への懸念が示されるか注目されます。
◆為替 : レンジ継続
引き続き米長期金利は2.6%程度で方向感なく推移しており、112円の半ばを超えてドル円を買い上げる要因とはなりません。一方で米株は堅調な動きを見せており、現状リスク選好の動きがやや優勢となっています。また、米国とは対照的にユーロ圏の景気減速が顕著であり、ユーロドルが弱含み(ドルは堅調)で推移していることから、ドル円でもドルの下値は限られます。ドル円は引き続き狭いレンジの中、方向感のない展開が続きそうです。
◆Jリート : 一進一退
東証REIT指数は、一進一退の中、小幅に上昇。世界的な景気減速への過度な警戒感が後退し、長期金利が上昇する中、Jリートは売りが先行しました。ただ、長期金利の上昇が一服したことや、相対的に高い分配金利回りに着目した買いなどから、下げを消す動きになりました。長期金利が依然としてマイナス圏で推移する中、Jリートの予想分配金利回りは4.0%弱と高い水準。ただ、10連休を前に積極的な買いが手控えられる可能性も。
■来週の注目点
鉱工業生産指数(3月、速報値) 4月26日(金)午前8時50分発表
鉱工業生産指数は2月に前月比0.7%上昇し、102.8(2015年=100)となりました。ただ、大幅に低下した1月(同2.5%低下)の後としては、小幅な戻りにとどまりました。指数の水準も、自然災害の影響などで低下した昨年9月を下回っています。
今回発表される3月分も上昇が見込まれるものの、電子部品関連の輸出低迷などを背景に、極めて小幅な上昇にとどまりそうです。そのため、1-3月期の鉱工業生産は前期比で低下となる見通しです。これらを踏まえると、1-3月期は国内総生産(GDP)についてもマイナス成長となる可能性があります。
米耐久財受注(3月) 4月25日(木)午後9時30分発表
2月の米耐久財受注は、前月比1.6%減と市場予想を若干上回ったものの、2018年10月以来の減少となりました。また、設備投資の先行指標となる航空機など輸送機器を除く非国防資本財(コア資本財)受注は同0.1%減と予想(同0.1%増)を下回りました。
コア資本財の減少は直近4か月で3度目となり、世界的な景気減速や米中貿易戦争にかかる不透明感を背景に企業の投資が抑制されている状況を示唆していると思われます。しかし足元、中国の製造業に底打ち感が出ており、今後の推移が注目されます。3月は総合で前月比0.7%増、コアで同0.2%増を想定しています。
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