来週の金融市場見通し(2019年4月15日~2019年4月19日)
■来週の見通し
国際通貨基金(IMF)が世界経済成長率見通しを下方修正したことや、欧米の貿易摩擦への警戒が、金融市場のやや重しになりました。来週は、日米の新たな貿易協議の初会合が予定されています。自動車の数量規制や為替条項への警戒感が広がることには注意が必要です。本格化する米企業決算に加え、米国の貿易収支、小売売上高、中国の1~3月期の国内総生産(GDP)なども確認したいところです。
◆株価 : 方向感を欠く展開か
日本株は方向感を欠く展開が予想されます。足元、米国経済は底堅さを示しており、中国経済にも回復の動きがみられます。また、英国が欧州連合(EU)から無協定で離脱することは、当面回避されそうです。これらに支えられ、株式市場では楽観ムードが残りそうです。ただし、今後発表される企業決算は、日米ともに総じて低調な内容が見込まれます。そのため日経平均株価は、2万2千円近辺では上値が重くなる見通しです。
◆長期金利 : マイナス圏で一進一退
日銀が国債買入れオペで買入れ額を減額しなかったこと、米消費者物価指数が伸び悩み、米利上げ観測が後退したこと、また国際通貨基金(IMF)が世界経済や米国の成長率見通しを引き下げたことなどを受け、国内の長期金利は一時マイナス0.065%まで低下しました。日銀は国債買入れの減額などに動いておらず、マイナス圏での動きを容認している模様。米長期金利も落ち着いてきており、低位での一進一退の動きが続きそうです。
◆為替 : レンジ継続
米連邦準備制度理事会(FRB)が今年の利上げを見送ると想定される中、米長期金利は2.5%程度で推移しており方向感がありません。堅調な米株の動きを背景に現状リスク選好の動きがやや優勢と思われるものの、引き続きドル円の値動きは限定的であり、今週もレンジ内での推移が想定されます。欧州景気が減速感を強める中、米中通商協議は最終段階で停滞していることから結論は予断を許さず、リスク回避の円買いも出やすい状況です。
◆Jリート : 利益確定売りが一巡すれば
東証REIT指数は、利益確定売りに押されながらも、相対的に高い分配金利回りに着目した買いなどから底堅く推移し、1,870ポイントを挟んで一進一退の動きになりました。長期金利がマイナス圏で推移する中、Jリートの予想分配金利回りは4.0%弱と、引き続き高い水準です。また、日銀の買入れも安心材料です。3月末の東京都心のオフィス賃料は63か月連続で上昇。期初の利益確定売りが一巡すれば、上値を探る動きも期待されます。
■来週の注目点
全国・消費者物価指数(3月) 4月19日(金)午前8時30分発表
日本の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は2月に前年比0.7%上昇と、1月(同0.8%上昇)から伸びが鈍化しました。ガソリン価格が前年比で下落(マイナス1.3%)に転じたことなどが要因です。
全般的なインフレ圧力は依然弱く、3月のコアCPIについても前年比0.7%の上昇にとどまる見込みです。今後予想される携帯電話料金の値下げなどを踏まえれば、コアCPIは、年内に0%台前半まで低下する見通しです。よって、日銀は近々、物価見通しのさらなる下方修正を余儀なくされそうです。
米小売売上高(3月) 4月18日(木)午後9時30分発表
米国の小売売上高は2月に前月比0.2%減と予想外に減少しました。特に食品、建築資材、電気製品などが比較的大きく落ち込みました。また、飲食店、自動車ディーラー、ガソリンスタンドなどを除くコアの売上高も市場予想を下回り、前月比0.2%減となっています。
これまで米国では個人消費主導で景気が拡大してきましたが、一旦踊り場にさしかかった可能性があります。一方で労働市場は良好な状態が継続し賃金も年率3%台の伸びを維持していることから、一時的な落ち込みになるかどうか注目です。3月の予想は前月比0.8%増程度です。
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