米国への揺さぶりとG20

2017/07/07

今週の国内株市場ですが、日経平均は取引時間中に節目の2万円台を割り込む場面がみられるものの、終値ベースでは維持するという展開が続いています。米国の独立記念日(7月4日)のタイミングで発表された北朝鮮によるICBM(大陸間弾道ミサイル)発射成功を受けて、地政学的リスクの燻りが再燃する中、今のところ、堅調といえば堅調な展開ではあります。

 

米国を射程圏内に収めるICBMと核弾頭の開発は、米トランプ政権にとって超えてはならない「レッドライン」とされて来たため、少なくともリスクが1段階引き上げられたことには変わりは無く、米国が北朝鮮に対して新たな行動を起こす可能性が高まったと言えます。

 

さらなる経済制裁の強化などが候補に挙がりますが、これまでの経済制裁が北朝鮮の抑止力としてあまり機能しなかったことを踏まえると、軍事的行動などの強攻策シナリオも否定できません。足元のトランプ氏の反応はツイッターでの発言にとどまっていますが、これに加えて、中国やロシアをはじめ、日本や韓国の立場や思惑が絡んでくるため、まずは、週末(7月7日~8日)にドイツで行われるG20首脳会議での動向が注目されます。

 

また、今週は、日本とEUが経済連携協定(EPA)について大枠で合意されたことが報じられました。最終合意は年内の実現を目指していますが、日本とEU間で関税が軽減・撤廃される品目は全体の95%に及ぶ見込みで、これにより、世界貿易の約3割を占める経済圏が誕生します。これまでの攻防の焦点は、日本側の自動車輸出とEU側の農産物輸出に係る関税だったのですが、ここに来て、急ピッチで交渉が進んだ印象です。

 

その背景には、北朝鮮のミサイルと同様に、米国に対する政治的な揺さぶりの意味合いが感じられます。米トランプ政権が自国の保護主義を打ち出す中で、週末のG20のタイミングに合わせて、日欧が協調して自由貿易を推進していくメッセージを打ち出し、米国の姿勢に対抗したいという思惑が透けて見えます。

 

経済状況や金融政策動向に加えて、政治的な面でも米国への注目度が高まりつつあると言えそうです。

 

 

 

 

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