イラン情勢の裏に潜む金融リスク
3月相場入りとなった今週の株式市場ですが、先週末に軍事衝突に発展したイラン情勢を受けて、荒い展開が目立っています。日経平均は週初の2日(月)から4日(水)にかけて3日続落し、3日間の合計で4,604円の下げ幅となり、株価水準も先週末の58,850円から54,245円へと切り下げています。先月(2月)の月間上昇幅(5,527円)の約8割を打ち消した格好です。
しかし、5日(木)の取引ではイラン情勢の短期収束期待で急反発し、取引開始直後に上げ幅が2,000円を超える場面を見せています。今後の展開についても、「どのくらいの期間で事態が収束するのか?」という時間軸がカギを握ることになりそうです。
武力による応酬の停止や今後のイランの統治体制、核開発・保有の放棄、原油やLNG価格の落ち着きなどをポイントに、短期間(1カ月から3カ月以内)で収束する見込みとなれば、「影響は一時的」という判断となり、株価の反発基調は続いて行くと思われます。
反対に、事態が長引きそうな状況となれば、原油価格の上昇がもたらすインフレや景気減速懸念、そして、リスクオフムードによる安全資産への回避など、これまでの相場見通しの前提(堅調な景況感や企業業績の回復基調など)が崩れることになるため、あっさり5万円台を下回る展開も想定しておく必要が出てきそうです。
現時点では、トランプ米大統領が今回の軍事作戦の期間を「4週間程度」と表明していることもあり、まずは75日や13週といった3カ月間の移動平均線、および5万2,000円水準あたりまでを下値の目安として、しばらくは今後の行方を見守りながら株価が上下する動きが想定されます。
このように、相場の視線は中東情勢に向かっていますが、その裏では米国を中心に「プライベートクレジット(銀行を介さない投資ファンドによる企業融資)」の問題も浮上しています。
プライベートクレジットは、2008年のリーマン・ショック後に強化された銀行への規制を背景に、中小企業や未上場企業の資金ニーズを満たすために急成長し、現在2兆ドルを超える市場規模になっていると言われています。銀行よりも審査が柔軟で資金調達手段の多様化という企業側のメリットや、高リターンが期待できる投資家側のメリットと同時に、投資先の破綻リスクをはじめ、投資先やその資産評価額が見えにくい不透明性、すぐに換金できない流動性リスクも有しています。
先週、不動産ローンを仲介するマーケット・フィナンシャル・ソリューションズという英国の企業が破産申請しましたが、この企業も銀行融資だけでなく、プライベートクレジット経由で資金を調達していました。投資先の破綻リスクが表面化した事例ですが、問題となっているのは、この企業が同じ資産を複数の資金調達の担保に設定する、いわゆる「二重担保」を行っていた疑いがあり、プライベートクレジットが抱える不透明性リスクが警戒されています。
実は、昨年9月の米自動車関連企業(トライカラー、ファーストブランズ)の破綻や、11月の米不動産業のレノボ・ホーム・パートナーズの破綻、そして、今年1月のブルー・アウル・キャピタル傘下のプライベートクレジットファンドが解約の受付を一時停止するなど、プライベートクレジットに対する懸念が徐々に高まっており、こうした事例の増加によって金融不安が拡大していく展開にも注意しておく必要がありそうです。
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