AI相場は「次のフェーズ」へ、Google復権が示唆する選別の視点
11月最終週となる今週の株式市場ですが、日経平均が27日(木)の取引開始直後に、節目の5万円台を回復しているほか、米国株市場でも、主要株価3指数(NYダウ・S&P500・ナスダック総合)が揃って、足元で下回っていた25日・50日移動平均線を再び上抜けるなど、これまでのところ、復調の傾向が目立っています。
こうした相場展開の主因として、米FRB(連邦準備制度理事会)による12月の利下げ期待が再び高まったことが挙げられ、最近まで軟調だったAI・半導体関連株にも買い戻しの動きが広がりました。しかし、「AI相場が復活し、再び高値を更新していくのか?」と言えば、まだ微妙な状況かもしれません。というのも、AI・半導体関連銘柄における株価の戻りには温度差があり、これまでのような「AI関連のテーマであれば、とりあえず株価が上昇する」というフェーズから、銘柄の選別が行われる「次のフェーズ」へと移行しつつあるような動きも見られます。
具体的な選別の視点として、「しっかり成長できているか(売上や利益を伸ばしているか)?」、「AI投資の財務リスクは大丈夫か?」、「手掛けるAI投資や技術・サービスが競争優位性を持っているか?」といったものが挙げられます。つまり、期待が先行する局面から、現実的な問いが投げかけられ始めたと言えます。
こうした、選別の視点の表れを象徴する出来事として、米アルファベット(Google)株価の動きが挙げられます。今週も高値を更新する動きが続き、25日(火)の取引では、アルファベットの時価総額が7年ぶりにマイクロソフトを逆転したと報じられました。これまで「AI覇権争いで出遅れた」と見なされ、長らく「眠れる巨人」と揶揄されてきたアルファベットが再評価されている背景には、投資家が「AIのコスト」と「持続可能性」に目を向け始めたという事実があります。
Googleの強みは、AIモデルの「Gemini」をはじめ、クラウド基盤、そして何よりAI専用半導体(TPU)をすべて「自前」で持っているという点です。これまで市場は「エヌビディアの高性能GPUをどれだけ確保できるか」が企業の競争力として評価されてきましたが、AI開発競争が激化し、電力消費とコストが膨れ上がるにつれ、その潮目は変わりつつあります。
エヌビディア製のGPUは高性能ですが、高価かつ消費電力も莫大という課題がありました。対して、GoogleのTPUは電力効率に優れ、コストパフォーマンスが高いという評価が出始め、実際に、メタ・プラットフォームズがアルファベット製TPUの採用を検討し始めたという報道もありました。さらに、アルファベットの最新AIモデル「Gemini3.0」の性能も、オープンAIの「ChatGPT」を上回っているという評判も出てきています。
このように、これまで一強だったエヌビディアやオープンAIに新たなライバルが出現したという見方がアルファベットの株価を押し上げ、一方でマイクロソフトやエヌビディアの株価は伸び悩んでいます。
AI・半導体相場はまだ終わったわけではありませんが、今後はこうした競争力も銘柄選別の重要な判断材料になってくると思われます。したがって、今週の株価の反発は、単なるリバウンドではなく、こうした「次の主役」を探すための号砲になるのかもしれません。
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