米FOMCで相場の流れは変わったか?
連休明けで迎えた今週の株式市場ですが、日経平均の値動きを確認すると、これまでのところ節目の45,000円台をうかがう展開が続き、達成感や過熱感が意識されながらも、相場の強気ムードが続いている印象です。
また、今週は日米の金融政策イベントが注目されていましたが、そのうちのひとつである米FOMC(連邦公開市場委員会)が16日(火)から17日(水)にかけて開催されました。
その結果は0.25%の利下げが決定されたほか、FRBメンバーの金利見通しの動向を示したドット・チャートでも、2025年内にあと2回の利下げが見込まれているなど、おおよそ市場が予想していた通りの内容となりました。
これを受けた米国市場の動きを見ると、株式市場ではNYダウが上昇する一方で、S&P500とナスダック総合が小幅に下落、債券市場では10年債利回りがわずかに上昇、為替市場でも米FOMCの結果発表直後は円高になったものの、すぐに円安へ方向に舵をきるなど、まちまちとなりました。
初期反応としては無難にイベントを通過したと言えそうですが、別の見方をすれば、イベント通過による「アク抜け感」で積極的に上値をトライするわけでもなく、かといって「材料出尽くし感」で売りに押されることもなかったため、相場の流れが大きく変化することのない、中途半端な動きだったという見方もできます。
実際に、株価が上昇したNYダウの値動きを見ても、利下げは発表された直後に大きく上昇しましたが、その後のパウエルFRB議長の記者会見が始めるとマイナスに沈む場面があり、取引終了にかけて再び値を戻す展開となっており、結果自体は想定通りであったとはいえ、先行きに対しては依然として不透明感がくすぶったままで評価が定まらない様子が感じとれます。
こうした不透明感の背景には、現在の米国経済が「物価高と雇用の減速が同時に懸念される状況」による迷いがあることが挙げられます。
通常であれば、雇用が減速すれば景気が悪化し、需要が減少することで物価も下がっていくというストーリーを描くことができ、株式市場も「利下げトレンドの持続」という見方から金融相場主導の株高シナリオになりやすいのですが、現在は、雇用関連の経済指標で軟調なものが増える一方で、景気自体は堅調を保っているほか、物価の下落ペースも鈍くなっています。さらに、米関税政策の影響という特殊要因も加わっており、利下げを進めることでインフレが再燃してしまう可能性は低くはないと思われます。
また、今回の米FOMCの結果と同時に公表されたFRB資料でも、2025年と26年の景気と物価上昇の見通しがともに上方修正されていることなどを踏まえると、金融相場のさらなる進展を株式市場が織り込むのは難しいと思われます。
したがって、今回の米FOMCを経て、利下げペース加速と堅調な米景気、AIをテーマにした物色など、足元で株式市場を支えてきた材料のうち、利下げ期待という支援材料はいったん打ち止めの格好となり、今後は経済指標や物価動向、企業業績などウエイトを高めながら、株価水準を探って行く展開になりそうです。

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