米国株は2025年も上昇できるか?
日米の金融政策イベントを通過したほか、海外市場でもクリスマスで休場となるところが多く、すでに「年末相場」モードに突入した今週の株式市場ですが、これまでのところ、堅調な展開が目立っています。
日経平均は39,000円水準を挟んだ値動き、米国株市場でも、クリスマスイブにあたる24日(火)の取引(この日は短縮取引)で、NYダウが43,000ドル、S&P500が6,000p、ナスダック総合指数が20,000pの節目の株価水準に乗せるなど、「閑散に売りなし」という相場格言の通り、薄商いの中で株価はしっかりした足取りを辿っている印象です。
その中でも最高値更新に一番近いところに株価が位置しているがナスダック総合指数です。その一方で、NYダウについては、10連続下落の下げ幅(2,687ドル)のうち、直近の株価反発(970ドル)は、まだ4割弱しか戻せておらず、最高値更新までの距離は結構あります。
このように、最近の米国株は株価指数によって温度差が生じています。年間トータルでみれば、ほとんどの株価指数は上昇しているものの、とりわけ、先ほども見てきたNYダウや、中小型株で構成されるラッセル2000の失速が目立っています。
その背景にあるのは、米金利の上昇です。米FOMC(連邦公開市場委員会)を通過した米10年債利回りは4.5%台を超えるところまで上昇しています。一般的なセオリーで言えば、金利の上昇は株価の重石となり、実際に、米10年債利回りが4.5%を超えていた今年の4月や、昨年10月の米株市場は下落基調となっていました。それでも、ナスダック総合指数が堅調なのは、金利の高止まりが企業財務の足枷となる懸念がある中、大手テック株などは会社の規模など財務的に安定していると見做されていることや、生成AI関連銘柄の物色に広がりが出始めていることなどが挙げられます。
とはいえ、基本的に金利上昇と株価上昇の両立は長く続くとは考えにくく、米金利の高止まりは米国株市場の足を引っ張る存在となります。特に、来年1月20日に正式就任するトランプ米大統領の掲げる施策(減税・規制緩和・関税強化・移民政策)は、財政悪化や景気過熱、輸入コスト、賃金面など、様々な方向からインフレが再燃しかねない要素を抱えているほか、トランプ氏勝利の理由のひとつに、バイデン政権時のインフレ不満を集めたことがあるだけに、トランプ次期政権はインフレとの戦いになりそうです。
また、米国株市場にはPER(株価収益倍率)や、株式益回りと債券利回りなどの面でかなり割高となっているほか、このまま年末を迎えると、米S&Pの年間騰落率が2年連続で20%を超えることになり、過熱感もないわけではありません。もちろん、かつてのITバブル時のように割高な状態が何年も続く中で株価が上昇するケースもあり、必ずしも「割高だから株価はすぐに下がる」というわけではありませんが、いざ割高感が修正される局面に入った際には下げ幅が大きくなりやすい点には注意しておく必要があります。
海外金融機関が予想する2025年末のS&P500は、6,500pあたりが予想の中央値として多くなっていますが、現在の株価からすると大体8%ちょっとぐらいの上昇で、過去50年平均ぐらいのレベル感です。そのため、2025年の米国株は、ここ2年の株価上昇のイメージを切り替えて相場に臨むのが良いかもしれません。
銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようにお願いいたします。
本資料の情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。本資料の記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答え致しかねますので予めご了承お願い致します。また、本資料の記載内容は、予告なしに変更することがあります。
商号等:楽天証券株式会社/金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第195号、商品先物取引業者
加入協会:
日本証券業協会
一般社団法人金融先物取引業協会
日本商品先物取引協会
一般社団法人第二種金融商品取引業協会
一般社団法人日本投資顧問業協会