『急落前の株価を超えるのはいつか?』

2024/08/16

今週の株式市場ですが、これまでのところ、日米ともに主要株価指数が戻り基調を辿る展開となっています。日経平均やTOPIX、米NYダウ、米NASDAQ(総合指数)などが揃って、直近の高値と急落時安値の下げ幅の「半値(50%)戻し」あたりまで株価が反発してきているほか、さらに米S&P500については「61.8%戻し」まで上昇しています。

さらにテクニカル分析的に堀り下げていくと、足元の株価は、日本株(日経平均とTOPIX)が200日移動平均線、米国株(NYダウ・NASDAQ・S&P500)が25日移動平均線あたりに位置しており、これらの相場の節目を上抜けることができれば、『半値戻しは全値戻し』という相場格言があるように、株価上昇に弾みがついて急落前の株価を超える展開も期待できそうです。

このように、株式市場は順調に回復しつつあるような印象ですが、今後のスケジュールを確認すると、来週は8月22日~24日にかけて、ジャクソンホール会議(米カンザスシティー連銀が主催する金融・経済シンポジウム)が開催されるほか、再来週の28日には米半導体大手企業のエヌビディアが決算を発表する予定となっています。

今回の株価急落によって、米国の利下げ実施に対する捉え方が、「経済データをチェックしながら予定調和的に利下げを実施して、景気もソフトランディングしていく」から、「想定以上に米国の景気が悪化する可能性があり、後手に回る形でFRBが利下げに迫られる」というシナリオへと意識が向かい始めているほか、「(生成AI)」という相場のテーマについても、「巨大な投資のピークアウトの時期」と「収益化までの道筋」の方が注目されるようになっていた、これまでの積極的な買い材料に陰りも出始めています。

また、「〇〇・ショック」後の株価の値動きは、1987年のブラックマンデーや、2006年のライブドア・ショック、2018年のVIXショックのように、「過度な楽観やポジションの修正にとどまり、急落後の株価を上回って回復する」パターンのほか、2000年のITバブル崩壊や2015年のチャイナ・ショックのように、「景気後退懸念を伴いながら、株価の下落基調が続いてしまう」パターン、そして、2007年~2008年のパリバ・ショックおよびリーマン・ショックのように、「金融不安が加わって、景気後退懸念とのスパイラルでさらに下落していく」パターンといった具合に、景気後退や金融不安を伴うか否かによって変わってきます。

そのため、来週から再来週の米国イベントをどう通過するかが、急落前の株価を超えることができるかどうかの試金石になると思われます。

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