「日米金融政策の方向性の違いは株価の逆風となるか?」

2024/08/02

今週の国内株市場ですが、これまでの日経平均の値動きを辿ると、週初の7月29日(月)と30日(火)の2日間は38,000円台の前半で静かに推移し、先週の株価急落がいったん落ち着く格好となっていましたが、31日(水)になると、一気に39,000円台まで急上昇したかと思えば、翌8月1日(木)には再び38,000円台を下回る急落の場面を見せるなど、にわかに相場展開が慌ただしくなってきました。

その背景にあるのは、今週最大の注目材料となっていた日米の金融政策イベントになります。

日銀金融政策決定会合の結果については、前回の会合でアナウンスされていたように、国債の買い入れ減額についての詳細が公表されたほか、利上げ(0〜0.1%としていた政策金利を0.25%に引き上げ)も決定されました。

こうした日銀の決定は31日(水)の13時前に公表されたのですが、公表直後の日経平均は刹那的に株安に動いたものの、すぐに切り返し、その後は取引時間終了にかけて上昇幅を拡大していきました。利上げの決定は多少のサプライズ感はあったものの、すでに一部で想定されていたことや、為替市場の値動きも比較的早い段階で落ち着いたこともあり、イベント通過によるアク抜け感で株価が上昇していったと思われます。

ただし、株価の上昇幅が拡大したことについては、事前に組まれていたポジションの整理が影響したと思われ、実際に、その後に取引が始まった日経225先物取引では上昇幅が縮小する動きとなっています。ゆえに、日銀会合を受けた株式市場の初期反応は、需給整理の関係で株価が上下に振れる場面があったものの、全体的には「無難な受け止め」だったと言えそうです。

続く、米FOMC(連邦公開市場委員会)については、金融政策の変更はなかったものの、FOMC後に開かれたパウエル米FRB議長の記者会見の内容などから、9月の利下げ開始シナリオがより鮮明になったことで、米長期金利が低下し、米主要株価指数の多くが上昇する動きとなりました。

このように、日米の金融政策が、それぞれ引き締めと緩和という反対の方向性が意識され、これを受けた1日(木)の日経平均が為替の円高を伴って、日本株が大きく下落する動きへとつながっている状況となっていますが、今後注意しなければならないのは日本株よりも米国株の方かもしれません。

足元の米株市場は利下げによる金融緩和効果を織り込む動きで上昇していますが、9月の利下げ開始だけでなく、年内の追加利下げを見込む動きも出始めており、現時点では、米利下げ観測は米株市場にとって買い材料として機能しています。さらに、NY連銀のダドリー総裁による「利下げ開始の前倒し」発言にもあるように、利下げを急いだほうが良いのではという見方も一部で増えています。

ただし、その理由となっているのが米景気の後退懸念です。利下げ開始以降も米経済の後退を示す経済指標が相次いでしまうと、追加利下げ観測が高まる反面、相場の視点が「利下げによる効果」よりも、「利下げペースを急がなければならないほど、景気が後退している」ことの方へと移ってしまい、結果的に株価が下落してしまうシナリオが浮上する可能性があります。

そのため、9月開始とされる米利下げ後の景況感の変化には注意する必要がありそうです。

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