「FOMCを受けた米国株市場の強弱」

2024/06/14

米FOMC(連邦公開市場委員会)と日銀金融政策決定会合の「金融政策イベント」を迎えることとなった今週の株式市場ですが、米FOMCの結果を受けた12日(水)米国株市場の反応は、S&P500とNASDAQが市場最高値を更新する一方で、NYダウやRussell2000(米国の中後型株で構成される株価指数)は小幅安となるなど、強弱まちまちで、市場の初期反応は限定的となった印象です。

また、この流れを受けた日本株市場も、日経平均は上昇して始まったものの、その後は上値を伸ばせていません。もっとも、日本株市場については、この後(14日)に控える日銀金融政策決定会合の結果待ちという背景もあり、積極的に動きづらい面があります。

もう少し、12日(水)の米国株市場の動きについて踏み込んで確認すると、前半は大きく上昇する展開となっていました。この日に公表された米5月消費者物価指数(CPI)の結果が市場予想や、前回よりも鈍化する結果となったことで、米FRB(連邦準備理事会)の利下げ開始時期の後ずれ警戒が後退したことが株価を押し上げた格好です。

ただし、その後のFOMCについては、金融政策の現状維持は市場の予想通りだったものの、金利と経済見通しでは、年内に1回(0.25%)の利下げを想定していることが判明し、利下げ開始が12月になる可能性が高まりました。前回(3月)の見通しでは、年内3回(0.75%)の利下げが想定されていたことを踏まえると、FRBの金融緩和のシナリオが後退するタカ派の内容だったと言え、上昇していた米株市場は売りに押され始めて行きました。

ただし、FOMC声明文や、FOMC後に開かれたパウエルFRB議長の記者会見の内容からは、こうしたタカ派姿勢を緩和するような表現が多かったこともあり、市場では、「FRBの見解は現状を保守的に見積っているだけで、年2回の利下げは可能」、「遅かれ早かれ、いずれFRBは金融緩和に転じるシナリオは変わらない」という見方で、結果的に「FOMC前とあまり変わらない」認識が継続したと言えます。

言い換えれば、今後も米国の経済指標のデータ次第で相場が動きやすいこと、景況感悪化への警戒で景気敏感株が買われにくくなること、成長性をはじめ、利下げ見通しや企業規模による財務の安定性のディフェンシブ面を材料に、大手IT・ハイテク株に物色が向かいやすいという構図が続くことになり、「グロース株がどこまで相場全体をけん引できるか?」、「利下げが見えて以降も景況感の悪化が続くのであれば、あらためて逆業績相場を織り込みに行く可能性はないのか?」などが相場の視点として意識される場面が増えてくると思われます。

したがって、中長期的な相場の方向感を探る展開は、もうしばらく続くことになりそうです。

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