高値圏の株式市場のウラで起きている変化に注意
今週の株式市場をざっくり見渡すと、これまでのところ、売りに押される場面が散見されながらも、日米の主要株価指数は高値圏での推移が続いています。
国内株式市場では、週末のオプション・mini先物取引のSQを前に、日経平均が節目の36,000円台での攻防が続く中、個別企業の決算に反応する動きが目立っています。
ポジティブな材料としては、好業績に加えて、台湾の半導体企業TSMCの熊本工場の運営子会社へ出資すると発表したトヨタや、大規模な自社株買いを発表した三菱商事などが挙げられる一方、決算が冴えなかったダイキンやシャープ、ヤマトHDなどがネガティブ視されるなど、明暗が分かれています。
米国でも、いわゆる「マグニフィセント・セブン(M7)」のうち、6銘柄が先週までに決算発表を終え、ヤマ場を超えましたが、6銘柄の株価の値動きはまちまちとなっています。
米国株市場は昨年11月から上昇基調を描いて行きましたが、当初は、米国の金融政策の利下げ観測の高まりを背景に米金利が低下し、PER面での割高感が修正される動きだったのが、2024年に入ってからは、一部のIT・ハイテク企業を中心に、業績(EPS)の拡大期待によって買われて株価が上昇する動きへと変化していきました。
そのため、現在は「企業利益の成長が金利上昇に打ち勝つ」という構図に揺らぎが生じ、一体感を持って株価の上値を追っていく勢いが後退している印象ですが、それでも米経済の「ソフトランディング(軟着陸)」期待が相場を支えている格好です。とはいえ、景況感の強さは米金融政策の利下げ期待を後退させることになり、金利の上昇要因でもあります。さらに、決算を通じては、予想外の赤字となったニューヨーク・コミュニティ・バンコープをきっかけに、米地銀への警戒感もくすぶっています。
もっとも、足元の相場のムードは強いため、当面のあいだは、景況感が強ければ素直に受け止められ、反対に悪化しても、利下げ期待が高まることによって、株式市場はどちらに転んでも上を目指しやすい状況にあると言えます。
とはいえ、そろそろ相場の調整についても考え始めた方が良いかもしれません。目先では、来週1に発表される米1月の消費者物価指数や小売売上高が注目されます。
一般的なセオリーでは、景気の後退は、「①消費の減速・悪化」から、「②雇用環境の悪化」を経て、本格的なリセッション入りとなります。現時点では、①の消費の強さが米景気への楽観的な見通しにつながっています。
現在の米国の消費の強さは、「コロナ預金」効果が意外と続いていることや、支払い手段の緩衝材(クレジットカード、BNPLなど)によるタイムラグ、株高による「資産効果」などで購買意欲が保持されていることなどが背景にあります。
しかし、これらに陰りが見られ始めた場合には、一気に景気後退が意識される可能性があるため、注意が必要になると考えられます。
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