1月の日本株は「底力」が試される

2024/01/05

2024年相場がスタートしましたが、大発会となる1月4日(木)の日経平均の始値は33,193円となり、大納会(2023年12月29日)終値の33,464円から下落するスタートとなりました。元旦に襲った災害の影響が心配される中、米国株市場における地合いの微妙な変化も気掛かりとなってきました。

日本株市場よりも一足早く、1月2日(火)に取引が開始された米国株市場では、NYダウが小幅ながら最高値を更新したものの、NASDAQは前年末比で1.6%以上下落するなど明暗が分かれました。ディフェンシブ株が物色される一方で、これまでの相場のけん引役だったグロース株が売られた格好です。

確かに、「マグニフィセントセブン」と呼ばれる主要IT・ハイテク7銘柄に注目すると、昨年(2023年)の時価総額が株価の上昇によって約7割増加したことや、現在の株価自体も予想PERに照らし合わせると市場平均よりも高水準となっており、足元のグロース株は割高感が強く、米金融政策の利下げ期待の先取りだけで株価がさらに上値を追っていくのが難しくなりつつあります。

また、米国の景況感については「ソフトランディング」見通しが優勢となっていますが、実際のところ、景気見通しは簡単に覆ってしまうことも珍しくありません。例えば、昨年の年初の段階では、「ゼロコロナ政策を解除した中国の景気が急回復し、金融引き締めを続けてきた米国は景気が減速する」という見通しが優勢でしたが、蓋を開けてみれば真逆の状況となりました。そのため、今後の景況感はソフトランディングシナリオが揺らぐ可能性が十分にあり、冷静に見極めて行くことが必要です。

このように、目先の米国株市場が売りに押されやすくなっている状況で、日本株については、下値でしっかりと買いが入るかなど、「底力」が試される局面となりそうです。

というのも、東京証券取引所では、プライム市場とスタンダード市場に上場する全ての企業を対象に、低PBR改善をはじめ、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応を要請していますが、今年(2024年)からは、具体的な改善策や対応策を開示した企業の一覧リストを毎月公表することになっています。最初の公表予定は1月15日となっており、当日までの約2週間は値動きの荒い不安定な展開になるかもしれません。

もちろん、公表の内容次第では継続的に日本企業の経営改革に対する姿勢を評価する動きが強まって、日本株全体を底上げする動きにつながってくることも考えられます。さらに、その後は決算シーズンを迎え、企業業績に注目が集まりやすいタイミングでもあります。

もっとも、昨年年末にかけて急浮上した国内の政治資金をめぐる問題の悪影響や、米国の利下げに伴って新興国への資金シフトが進むことも考えられ、成長期待の面で日本株のウエートが下がることなども考慮する必要がある点には配慮しておきたいところです。

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