株価反発期待と「ナーバス」な相場地合い

2023/10/20

今週の国内株市場ですが、これまでのところ方向感に乏しい展開が目立っています。18日(水)の取引では日経平均がマイナス圏からプラス圏に転じて終了するなど、買い意欲も感じられるのですが、全体としては、日経平均とTOPIXがともに75日移動平均線を上抜ける手前でもたついているような印象です。

来週からは国内でも企業決算が本格化し、企業業績と見通しを見極めつつ、この75日移動平均線から上放れて行くのか、それとも抵抗(レジスタンス)として機能するのかが今後の焦点になりますが、足元の外部環境を見渡すと、相場の地合いはかなり「ナーバス」になっていると言えます。

具体的に見て行くと、パレスチナのイスラム勢力とイスラエルとの武力衝突をきっかけとする地政学的情勢の動向が原油価格・金利相場などに与える影響をはじめ、今週に入ってからは、米国が中国に対して、先端半導体を対象にさらなる規制強化に乗り出す方針を示し、米中対立の深化も懸念され始めました。そして中国でも、不動産大手の碧桂園の外貨建て債務の利払い不履行が警戒されています。

とりわけ、今後の中国については注意が必要かもしれません。不動産企業の債務問題を中心にした、中国の「カネ回り」悪化による景気への影響が不安視され始めてからかなりの時間が経っていますが、今のところ危機的な状況には至っていません。

「今が最悪期で、ココを乗り切れば中国経済は回復していく」という見方も出始めていますが、先日10日に決算を発表した安川電機の決算会見では、中国に対して「消費に非常に陰りが見える」、「成長率も高い数字を楽観的にみておきたいとは思わない」などの言及がありました。安川電機の中国向け売上比率は約24%を占めているだけに、これから発表される中国と関わりのある企業の決算については警戒モードが続くかもしれません。

さらに、先ほどの碧桂園の利払い不履行についても、状況によっては、「クロスデフォルト」条項が発動してしまう可能性があります。クロスデフォルト条項とは、債務者が1つの債務に対して返済を履行できず、デフォルトした場合、その債務者が負う他の全ての債務に関してデフォルトになったとみなされて、債権者が債務者に一斉に返還を要求できるという条項ですので、他の不動産会社の信用不安につながりかねず、目先の動向には注意が必要です。

もっとも、日本の国内景気自体は今のところ堅調さを維持しているため、このまま相場が崩れることなく、下値では買いが入りやすい状況が続くと思われますが、積極的に上値を追っていく展開になるのは、もう少し時間が掛かるかもしれません。

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