来週の金融政策イベントは相場の転換点となるか?

2023/09/15

今週の国内株市場ですが、日経平均は11日(月)の取引が続落するスタートだったものの、その後は持ち直す展開となり、14日(木)の取引では節目の33,000円台をうかがうところまで株価水準を回復させています。

週初の株価下落の主因となったのは、先週末9日付の読売新聞に掲載された植田日銀総裁のインタビュー記事をきっかけに、日銀のマイナス金利解除への思惑が働いたことです。「2%の物価目標の達成が可能と判断すれば、マイナス金利政策を解除する選択肢もある」との発言によって、11日の国内債券市場では10年債利回りが上昇したほか、為替市場でも円高/ドル安が進行したことが株式市場の売り材料となりました。

確かに、国内金利の上昇は、グロース(成長株)にとってネガティブ要因ではありますが、日銀がマイナス金利解除の検討を始めたということは、いよいよ日本がデフレから脱却しつつあることの裏返しであるほか、マイナス金利が解除されたとしても、金利水準自体はまだまだ低い状況です。

今後の物価上昇が賃金を伴って進行することや、10月半ばから本格化する国内企業の7-9月期決算で、業績見通しの上方修正が増えるなどの条件を満たす必要はありますが、こうした日本の変化は中長期的にはプラスに働くことも考えられます。

まずは、来週21~22日に開催される日銀金融政策決定会合と、その後の植田総裁の記者会見で、日銀がどのような姿勢なのかを確認していくことになります。また、同時に、米国でも19~20日に米FOMC(連邦公開市場委員会)が控えているため、来週の金融政策イベントが相場の転換点となる可能性があります。

米国株市場も、景況感とインフレの動向から金融政策への思惑で相場が動きやすくなっていますが、景気の「ソフトランディング」シナリオを前提に、来年にも利下げが行われるという基本シナリオが優勢である状況は維持されていると思われます。

ただし、S&P500の株式益回りと米10年債利回りとのスプレッドが縮小傾向にあり、債券と比べた株式の割高感があることや、消費面からの景気悪化懸念が燻っており、ソフトランディングシナリオはたびたび揺らぐ場面が増えそうです。実際に、米国では秋口以降、コロナ貯金の枯渇をはじめ、学生ローンの支払い再開、クレジットカードローンの延滞率上昇など、気掛かりな材料が増えつつあります。

来週の日米の金融政策イベント後の相場の視点は、金融政策よりも景況感や企業業績へのウエイトがかかっていくことが想定されますので、年末株高へと向かっていくには、10月からの決算シーズンの動向がカギを握ることになりそうです。

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