新年度相場は景況感への意識が強まる展開へ
4月を迎え、新年度相場入りとなった今週の株式市場ですが、日経平均は続伸して始まり、幸先の良いスタートとなったものの、5日(水)に大きく下落し、節目の28,000円台を下回るなど、少し雲行きが怪しくなってきます。
その背景には、米雇用統計の前哨戦とされるADP雇用統計の結果が冴えないものとなり、米国株市場が下落で反応したことがきっかけです。それまでは、金融システム不安やインフレ懸念の後退に向かっていた相場の視点が、景況感へと軸足が移りつつあるのではといった見方が出始めています。今月の半ば以降になると、日米の企業決算も本格化するため、その傾向は強まっていくと思われます。
ちなみに、米雇用統計(3月分)自体は今週末7日(金)に公表されますが、この日は米国株市場が休場のため、株式市場が結果を織り込むのは翌週に持ち越されます。直近までの米雇用統計については、非農業部門雇用者数や平均時給など、いわゆる「賃金インフレ」の動向に注目が集まっていましたが、今後は失業率の動向が注目されるかもしれません。失業率の上昇は景気悪化の表れと見做される面があるからです。
直近の米国の失業率は3%台での低水準を続けていますが、相場を過去に遡ると、失業率が継続的に上昇し始めたタイミングで株式市場が下落基調を辿ることが多く、実際に、2001年のあたまや、2007年の夏場に失業率が上昇に転じた段階で株価の下落傾向が目立つようになりました。
また、5月1日にFRBが新たな金融機関の規制・監督案を公表することも市場の焦点になる可能性があります。今回の規制案は、直近の金融不安の反省を踏まえてという経緯もあり、少なからず、内容が現状よりも厳しくなると思われます。
さらに、直近の金融不安については、当局の素早い対応などにより、いったんは落ち着きを見せていますが、先日のSVB(シリコンバレー銀行)をはじめとする金融機関の破綻劇は、不安の高まりによって、中小銀行から預金が引き出されたり、大手銀行への預金シフトが異例の速さで進んだことで発生したという、これまでにないスピード感を見せたという点で、印象的であり、まだ警戒の火種はくすぶっていると言えます。
そのため、今後の金融機関の姿勢が、貸し渋りや貸しはがしを増やすなど保守的になることで、景気の重石となるほか、企業決算との組み合わせによっては、株式市場が大きく下落する展開にも注意する必要がありそうです。もっとも、日本株については、東証が旗振り役となって進めている「低PBR企業への改善要請期待」という買いテーマがあり、市場のムードが悪化した際に、バリュー株への物色が相場を支えることができるかどうかも試されることになりそうです。
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