日銀会合の通過で日本株の地合いは改善できるか?
今週の国内株市場ですが、日経平均は注目イベントの日銀金融政策決定会合を通過した18日(水)に大きく上昇しました。この日の上昇幅は前日比で652円と大きく、株価水準を26,138円から26,791円と、27,000円台もうかがえるところまで切り上げてきました。
では、このまま日本株の地合いは改善して行くのでしょうか?
まず、きっかけとなった日銀会合について振り返ります。今週17日(火)~18日(水)にかけて開催された今回の会合では金融政策の現状維持が決定されましたが、金融市場ではこの結果について、ある程度の想定はできていたと思われます。
それでも会合後の株式市場が大きく動く反応となったのは、昨年12月の前回の会合でサプライズ的な金融政策の修正(10年国債利回りの許容変動幅の拡大)があったことがまだ記憶に新しく、相場のムードに不透明感が漂っていたことが挙げられます。そのため、「今回もさらなる修正が行われるのでは?」という思惑も働きやすく、先週あたりから日本株の株価指数先物の売り建てや、銀行などの金融株を買うことで今回の会合に備える、いわゆる「日銀プレー」が活発に行われていました。18日(水)の株価の大幅上昇は、こうしたポジションの巻き戻し(買戻し)が一気に進んだことが寄与した格好です。
確かに、今回も金融政策の修正を決定してしまえば2回連続となり、「日銀が市場の圧力に屈した」という印象を与えかねないことを考えれば、今回の現状維持という決定は自然な流れとも言えます。ただその一方で、国内債券市場の機能不全やイールド・カーブのいびつな形状といった副作用が残り、今後も政策修正への思惑が燻り続けることになるほか、今回の日銀の決定を細かく見ていくと、「共通担保資金供給オペ」が拡充され、その効果についても見極めていく必要があるなど、再び「日銀プレー」がいつ復活してもおかしくはなさそうです。
来週から米国を中心に決算発表シーズンが本格化しますが、あくまでも日銀プレーだけの観点で見るのであれば、決算を通じて企業の業績悪化が目立つと、米国金融政策のタカ派姿勢が後退するとの観測から、米金利低下や為替市場の円高などを伴って、日銀の金融政策修正へのプレッシャーは弱まっていくと思われますが、反対に、業績が思ったよりも悪くない、もしくは好調となれば、米金利上昇や円安となり、日銀の金融政策への思惑を喚起してしまう可能性があります。
したがって、足元の株式市場の派手な値動きの割には、国内株市場の中長期的な方向感はまだ定まっていないとはいえ、短期的な動向に振り回されないように注意する局面にあると言えそうです。
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