企業業績で探る「ベア・マーケットラリー」

2022/06/24

今週の国内株市場ですが、日経平均はこれまでのところ、26,000円水準で踏みとどまり、積極的な戻りを試す展開には至っていないものの、先週までの株価急落がいったん落ち着きつつある印象となっています。年初来安値を更新していた米NYダウも、連休明けで始まった21日(火)の取引で大きく株価が反発しています。

先週は米FOMC(連邦公開市場委員会)だけでなく、日本銀行の金融政策決定会合や、英国やスイスなど、各国中央銀行の金融政策イベントが集中する週でしたが、日本を除いた多くの中央銀行がインフレを警戒する「タカ派スタンス」へと舵を切る動きが相次ぎました。その中でもとりわけ、米国の利上げ幅拡大だけでなく、これまで「ハト派」として認知されていたスイスも15年ぶりの利上げに踏み切ったことも市場にインパクトを与えたと思われます。

こうした各国中央銀行の金融引き締め強化によって、「インフレを抑制する前に景気が減速してしまう」ことへの警戒感が高まりつつあるような印象です。そのため、しばらくはインフレと景況感のスピード感が焦点となり、相場の地合いが経済指標や企業業績の動向に敏感に反応しやすくなる可能性があります。

ちょうど、来週は「月またぎ」で7月相場入りとなりますが、国内では7月1日(金)の日銀短観をはじめ、2月決算銘柄の業績発表が増え始めます。来週発表される2月決算銘柄は、しまむらやスギHD、高島屋、Jフロントリテイリングなど、内需関連が多く、円安の影響や新柄コロナウイルスに絡む規制緩和(経済のリオープン)の状況などが焦点になりそうです。

さらに、もう少しカレンダーを進めると、米国では、7月8日(金)に6月雇用統計、13日(水)には6月CPI(消費者物価指数)が予定されており、インフレ動向が落ち着くかどうかが注目されるほか、その翌週からは日米の4-6月期決算が相次ぐことになります。先週末時点の米S&P500の予想PERは長期的な平均値の16倍程度まで低下しており、株価水準自体に割安感も出始めている状況ですが、これから迎える決算シーズンで業績の下振れ見通しが強まってしまうと、株価が一段安となるシナリオも十分に想定されます。

そのため、足元の株式市場は「ベア・マーケットラリー」がこのまま続いてしまうのかどうかを見極める局面にあり、しばらくは「値動きは荒いが相場の方向感に欠ける」展開が続きそうで、新たな動きが出始めるのは7月半ば以降になるかもしれません。

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