需給要因で株価上昇は続くか?
今週の国内株市場ですが、これまでのところ日経平均は方向感に乏しい展開となっています。週初の23日(月)に節目の27,000円台を回復させたものの、その後は26,000円台後半を中心に取引時間中も含めて株価の上げ下げが慌ただしい値動きが目立っている印象です。
テクニカル分析的には、「25日移動平均線の攻防」といったところですが、株価水準としてはちょうど26,750円あたりになります。株式市場は来週から6月相場入りし、その翌週末にはメジャーSQという需給イベントが控えていることから、株価指数(225先物)のオプション取引で比較的売買が多い権利行使価格250円刻みが意識されているのかもしれません。今後株価が上昇して行くのならば27,000円、27,250円、27,500円、反対に下落であれば、26,500円、26,250円、26,000円あたりが上値や下値の目安となるかもしれません。
また、需給絡みでは、米国株市場では主要株価指数が年初来安値を更新するなど、ここ最近までの株価下落によって、年金基金の資産配分見直しに伴うリバランスの買いが月末にかけて入るのではという観測があります。米大手金融機関では340億~560億ドル規模という試算もあり、足元の米株市場が、NYダウとS&P500が上昇する一方でNASDAQが下落するなど、まちまちの動きを見せる場面が増えているだけに、ちょっとした材料で株価が上昇しやすく、短期的に相場を支える材料となりそうです。
さらに、5月に入ってからの米株市場は、金融政策への思惑というよりも、景況感の動向が株価を動かす局面に入っているように思われます。これまでは、日々の米10年債利回りが上昇すれば株価下落、利回りが低下すれば株価上昇というリズムで動いていましたが、最近の米10年債利回りの動きはやや低下気味で落ち着いているにも係わらず株価は下落していました。25日時点の米10年債利回りは2.75%なのですが、5月あたまのFOMC会合を受けての利上げ見通しは、6月と7月の会合で0.5%ずつ、その後は0.25%にペースを落とすと想定すれば、2022年末の政策金利の水準は2.75%あたりとなりますので、現在の米10年債利回りと同水準になっており、米国の金融政策自体はいったん織り込まれたと考えて良さそうです。
少なくとも7月までの政策(金利)動向は読めていますので、問題はその後の政策がどうなるかが焦点になります。具体的には、利上げやQT(金融引き締め)の開始によって、米景気への悪影響は避けられないのですが、9月のFOMCまでにインフレが収まっているのであれば、その後の金融政策ペースの緩和や景気回復の兆しが見えてくる一方、インフレが続いてしまうと、さらなる引き締め観測が高まってしまい、景況感後退との「負のスパイラル」というシナリオが浮上してきます。
仮に目先で株価が反発する場面があっても、需給的な要素が強いほか、FRBはインフレのピークアウトが確認できるまで、現在の金融政策の方針を維持すること、経済指標や業績見通しなどの景況感とインフレ動向を合わせてウオッチする必要があるため、その賞味期限は意外と短くなることは想定しておく必要がありそうです。
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