FOMCで何が変わったか?
今週の国内株市場ですが、日経平均は週初の21日(月)に急落したかと思えば、翌22日(火)は急反発、そして23日(水)は29,000円台を挟んだもみ合いと、これまでのところ慌ただしい展開となっています。
5月終盤以降の日経平均は75日移動平均線と25日移動平均線を意識したレンジ相場が続いていましたが、米FOMC前にレンジを上抜け、FOMC後にはレンジを下抜け、結局はレンジ内に戻っています。そのため、FOMCを通過しても、引き続き75日移動平均線や29,000円台からの上振れが試される状況自体に変わりはなさそうです。
ただし、相場のムードや視点がFOMC前後で全く同じというわけではありません。FOMCを開催する米FRBは、「物価」と「雇用」を安定されるという使命を担っています。今回のFOMCで明確になったのは、これまでの「雇用>物価」というウエイト配分が、「物価>雇用」へと向かい始めたことです。
とはいえ、利上げの前倒しやテーパリング(緩和縮小)への意識が強まったものの、カギを握る物価上昇が一時的なのか、継続的なのかに対する見方が分かれている以上、現時点で緩和的な金融政策の出口戦略を急ぐことはないと思われます。少なくとも、今後発表される米国の経済指標や8月のジャクソンホールでの経済シンポジウム、9月のFOMCの動向を見極めていくことになるため、いわゆる積極的な「リフレ・トレード」の勢いは弱まると考えられます。
その一方で、IT・ハイテク銘柄を中心とするグロース株が買われる動きも見せています。FOMC後の金利動向が落ち着いてきたことも寄与していますが、まもなく6月が終了し、四半期決算の区切りを迎えるため、業績期待で買われている面もありそうです。
相場の視点が、「少し先の金融政策より、目先の企業業績」へ向かうのであれば、コロナ禍による出遅れを修正しようとしている日本株にとっては追い風になると考えらえます。実際に、足元の相場では業績予想の上方修正や観測報道を手掛かりに買われる銘柄が出てきています。
また、今後は新興国の景気動向が注目されるかもしれません。FOMC後の利上げ前倒し意識もあって、為替市場がドル高気味となっています。この傾向が続けば、ドル建て債務の多い新興国にとってドル高は負担が重くなる可能性があります。さらに、原材料高騰による物価上昇圧力は米国だけでなく、新興国にも圧し掛かっており、すでに利上げを実施している新興国も出てきています。ワクチン接種の普及率が高くないところも多く、経済が本格的な正常化を迎える前に、景況感が悪化してしまう展開には注意が必要かもしれません。
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