日本株の出遅れ修正は続くのか?
今週の国内株市場ですが、日経平均はこれまでのところ、続伸が目立っています。先週に28,000円台でもみ合ったことで、底打ち感がでてきたことで、戻りをうかがう展開となっています。このまま25日移動平均線や75日移動平均線を上抜けて、戻りに勢いにつくかが焦点になります。
国内では、すでに発令されている緊急事態宣言の延長の可否が議論されているところですが、先週は、モデルナ社とアストラゼネカ社のワクチンが承認されたことや、今週から、二大都市圏で大規模接種も始まり、順調に接種が進むことによる期待をはじめ、トヨタが最高値を更新するなど、企業の業績を見て買われる動きもあり、株価が戻りを試す展開も想定されます。
もっとも、米国株市場のムードに左右される面もあり、その点には注意が必要かもしれません。
米株市場自体は崩れてはいませんが、米長期金利が落ち着きを見せている割には、IT・ハイテク株などのグロース株の上昇がまだ高値圏に届いていないことや、経済指標も弱いものが増えてきたこと、そして、ビットコインをはじめとする仮想通貨の値動きが荒っぽくなっていることなど、不安定さを覗かせています。
米経済指標の弱さについては、今のところ「慌ててテーパリングの議論を進めなくてもよくなる」という感じで、ポジティブに受け止められていますが、来週末の米雇用統計の結果が悪かった場合、2カ月続けての悪化となるため、「もしかしたら、思っていたよりも景気回復が遅れているのではないか?」という見方も浮上する可能性もあり、金融緩和の継続性と、実際の景気の強さとの間で、市場心理が揺れ動く展開も考えておく必要があります。
また、仮想通貨市場の動きについても、株式市場に関連銘柄が多く上場していることもあり、敏感に反応しやすくなっています。そもそも、仮想通貨市場がこれだけ盛り上がったのは、金融緩和による効果です。パウエル米FRB議長は、足元のマーケットについて、「バブルではなく、フロス」と言及しましたが、個別株オプション取引やハイ・イールド債などのリスクマネーの行き先として仮想通貨が選択されている面があり、リスクマネーが分散されたことで、ひとつ市場での大きな泡が発生するのではなく、それぞれの市場で細かい泡が発生している状況とも考えられます。仮想通貨市場でリスクオフのムードが本格化すれば、当然、分散された他の市場にも影響が出てきます。
中長期的な相場見通しとして、「金融相場から業績相場へと移行していく」という見方が多数派となっていますが、実際に、投資会社の性格が強くなったソフトバンクGの株価が軟調な一方で、トヨタの株価が最高値を更新するなど、企業の中身に着目して買われる動きが出てきており、静かに業績相場が始まっている可能性があります。
そのため、米国市場に注意しつつ、基本的には日本株の出遅れ修正の動きがしばらく続きそうです。ただ、業績相場が長く続くには、銘柄物色に広がりが出てくることが重要ですので、しばらくはTOPIXの動向も併せてウォッチしていく必要があります。
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