ワクチン相場後の「コロナ格差」

2020/12/18

今週の国内株市場ですが、16日(水)の日経平均終値は26,757円となり、これまでのところ上げ下げを繰り返す横ばいの動きをなっています。新型コロナウイルスワクチンの接種開始による将来の「コロナ克服」期待と、足元の感染拡大傾向による目先の「コロナ不安」との両者のあいだで揺れ動いている格好です。
実際に、コロナウイルスの国内感染者数は、これまでの感染拡大の波と比べてもかなりのハイペースとなっており、GoToキャンペーンの一時停止が判断される状況になっています。クリスマスから年末年始の「稼ぎ時」のタイミングで経済的に痛いタイミングではありますが、気掛かりなのは、停止自体の善し悪しではなく、判断に至るプロセスやその根拠、そして、その判断を受けた国民の反応の方にあると言えます。
キャンペーンの停止については、かなり以前から各方面で提言されていましたし、報道でも医療現場の逼迫した現状が連日報道される中でも、日本政府はこれまで継続の姿勢を示し続けていました。それが、先週末の世論調査で内閣支持率が大きく低下したことをきっかけに、突如として停止が決定されたことで、「対応が後手に回っている」、「明確な計画性や客観的な説明に欠ける」という印象を与えてしまっている面があります。
確かに、早めにキャンペーンを一時停止して、「稼ぎ時」に間に合わせるように再開することもできたのではないかという意見もあり、実際に、欧州では早期に制限を強化してクリスマス前に緩和に舵を切ったフランスと、部分的な規制があまり効果を発揮せず、逆に規制を強化せざるを得なくなったドイツとで差が出ています。
少なくとも、日本政府は停止の判断材料と根拠、今後の方針を示す必要があります。でないと、再開予定とされる1月11日が迫った時点でのキャンペーンを再開する・しないの議論や、再開後に感染者が増加した場合にはどうするのかといった点でフラフラすることになりかねません。中途半端な対応がこのまま続くようであれば、「コロナ克服」による経済・社会の正常化のスピード感で出遅れる可能性も出てきます。
また、救世主として期待されるワクチンについても、どの程度の効果があるのか、効果が出るまでどのくらいの期間かかるのかは未知数です。すでに接種が始まっている英国と米国の動向を見極めることになりますが、日本でのワクチンの接種は来年春先という見方が多い中、思ったよりも時間が掛かるようだと、7月下旬のオリンピックに間に合うのかという見方も出てきます。
株式市場は「ワクチン相場」で上昇してきましたが、ワクチン接種が現実となった今、国や地域で生じるコロナ対応の差と、その後のコロナ克服の格差によって、マネーが動く展開も出てくるかもしれません。

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