株式市場の「2番底」はあるか?
「月またぎ」かつ新年度相場入りとなる今週の国内株市場ですが、日経平均はこれまでのところ19,000円台の意識から弱含みつつあるような展開となっています。
引き続き新型コロナウイルスが相場に影を落としている格好ですが、今週の4月1日(水)には日銀短観が発表されました。企業の景況感を表す業況判断指数(DI)が大企業・製造業でマイナス8となり、7年ぶりにDIがマイナス圏に沈み、直近の推移も5四半期連続で悪化するという結果でした。
これに対する株式市場の初期反応は一応ネガティブではあったものの、直近に見せていたような値動きに比べると、その下げ幅は限定的にとどまったと言えます。これまでの株価急落によって、かなりの実体経済悪化への不安を先取りしてきたことや、今回の日銀短観の調査期間が2月25日~3月31日だったことなどを踏まえると、今回の結果は予想していたよりも悪くなかったとも言えます。今週末には米国の雇用統計も控えていますが、多少の経済指標の悪化はあまりインパクトを与えないのかもしれません。
もっとも、新型コロナウイルスの感染は現在も進行中で目立った改善が見られていないため、株式市場が下方向を向くとすれば、指標の悪化よりも事態の長期化を印象付ける材料になると思われます。
また、「コロナ・ショック」とも呼ばれる直近までの株価急落ですが、かつての「リーマン・ショック」と比較する見方が多くあります。当時の日経平均は急落がいったん止まり、数か月後にいわゆる「2番底」を形成する格好で再び下落していきました。その後はアベノミクス相場の始まる2012年11月後半までの3年近くにわたって1万円台を挟んだもみ合いが続くことになります。
もっとも、今回の「コロナ・ショック」と「リーマン・ショック」は、実体経済の悪化と金融危機発生の順序や構造が異なるため、単純に比較することはできませんが、株価が2番底をつける可能性は高いと考えられます。共通しているのは内閣府が公表している景気動向指数の推移です。
景気動向指数には先行指数・一致指数・遅行指数の3つがありますが、例えば、「チャイナ・ショック」の時は、先行指数や一致指数が低下したものの、遅行指数が低下する前に持ち直したことで、株価の回復ペースは比較的早いものとなりましたが、リーマン・ショックの時は、元々低下傾向にあった先行指数や一致指数がさらに急低下し、それに続く格好で遅行指数も低下したことで、株価が底打ちしてからも本格回復までにかなりの時間が掛かっています。
足元の景気動向指数も、米中摩擦や消費増税の影響もあって、先行指数と一致指数がすでに低下傾向にありました。これに新型コロナウイルスの影響が加わった構造になっているため、まだ踏ん張っている遅行指数が低下していく可能性があります。事態の長期化はリーマン・ショック型の値動きのパターンとなり得るため、注意が必要かもしれまえせん。
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