予想外に強かった国内GDPが投じた一石
今週の国内株市場ですが、日経平均はこれまでのところ、節目の21,000円から21,500円の範囲内での上げ下げを繰り返す展開が続いています。米国による対中制裁関税の引き上げや中国企業の華為技術(ファーウェイ)に対する取引制限など、米中摩擦悪化懸念のムードが相場の上値を重たくしています。とりわけ、ファーウェイに対する制限は、昨年4月に米国が中国通信機器大手の中興通訊(ZTE)にかけた取引制限の影響がまだ記憶に新しく、警戒感を強めている印象です。
当時は、この取引制限によってZTEがスマートフォンを製造できなくなりました。制限自体は約3カ月後の7月に解除が発表されましたが、ZTEの業績は経営危機が危ぶまれるほど悪化しました。ファーウェイはZTEよりも事業規模が大きく、より大きな影響懸念されますが、その一方でZTEへの制限は米中の交渉が再開される圧力にもなった経緯があります。そのため、足元の金融市場は、制限による実体経済への悪影響と同時に、中国側からの譲歩を引き出し、早期の交渉再開に向けた動きへの期待も存在していることになり、心理的に相場を支えている面があります。
引き続き外部環境に振り回されやすい相場地合いとなっていますが、そんな中、今週あたまに1-3月期の国内GDPが発表されました。その結果は、大方の予想であったマイナス成長ではなく、年率でプラス2.1%成長というものでした。発表直後の日経平均は上昇で反応しましたが、次第に上昇幅を縮小させ、TOPIXに至っては下落に転じる場面を見せるなど、株式市場の反応はイマイチでした。
その理由としては各種報道にもある通り、肝心の消費や設備投資がマイナスだったことや、外需もプラスだったものの、全体的に対外取引の規模が縮小していることなど、素直に喜べない背景が読み取れる内容だったことが挙げられます。数字としては結果的に強いものが出てきましたが、中身は景気減速を示唆するものが多く、次の4-6月期のプラス成長への期待は萎んだ格好になります。
さらに、今回のGDPは、今秋に予定されている消費増税の見送りや、衆参同時選挙などへの観測が絡んで注目が集まっていましたが、今回の結果に対して「消費や設備投資の落ち込みは思ったほど悪くなかった」という見方もあり、日本経済は底堅いと判断されれば、予定通り消費税率が引き上げられることになりそうですが、まだハッキリしていません。
もっとも、「どちらに転ぶかわからない」状況が続くうちは、様々な思惑が交差するため、株式市場は方向感が出にくくなりますが、別の見方をすれば、株価の値持ちが良くなる可能性があります。今回の国内GDPが投じた一石は、株価の値動きが少し荒っぽくなりつつも、株価水準としては意外な安定感をもたらす効果があるのかもしれません。
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