コンセンサスとは逆を行くマーケット

前回の3月末のレポートにおいて「三番底形成で調整は終息か」というタイトルでコメントしたが、4月に入りマーケットの回復が顕著になっている。さて、遅くなったが3月のポートフォリオの状況ならびに近況について記したい。

3月のマーケットも日米市場ともに大きく下落する展開となった。

米国市場は続落。2月の雇用統計は予想の+20.5万人に対し+31.3万人となり平均時給伸び率は前月を下回る。トランプ大統領が中国に対し1000億ドルの貿易黒字削減と600億ドルの輸入品に高関税をかけるとの報道を嫌気。ティラーソン国務長官の解任も悪材料に。FOMCは事前予想通り政策金利の0.25%引き上げを決定。一方で経済指標は良好継続なものの、フェイスブックのCEOが情報漏洩で議会証言に応じることとなりハイテク株は軟調。3月のNYダウは24103ドルと前月より926ドル下落し月間騰落率は-3.7%。ナスダックは7063となり209ポイント下落の-2.9%となった。

東京市場も大幅続落。米中貿易摩擦懸念や米国株の大幅な下落、またリスク・パリティ戦略ファンドの売りも受けて厳しい展開。3/23の日経平均は974円安となり、昨年10/3以来の株価水準に逆戻り。森友学園を巡る問題で安倍内閣の支持率低下も痛手に。為替は一時104.60円まで円高が進む。売買代金は2.7兆円程度で推移。為替は先月末の107.10円から今月末は106.25円へ。3月の日経平均は21454円で取引を終え、2月末の22068円から613円下落し月間騰落率は-2.8%、Topixは-2.9%となった。一方、小型株市場はジャスダック平均が-4.0%、マザーズ指数は-2.7%となった。

太田忠投資評価研究所のインターネットによる個人投資家向け「投資実践コース」における3月のパフォーマンスは-1.4%となり、年初来-3.6%、累計では+157.7%(2月末+161.3%)と後退。3月末時点のポートフォリオの株式比率は81%で25銘柄を保有(2月末は76%で24銘柄を保有)。株式部分の含み益は+25.0%(2月末は+29.2%)。81%のうち現物株のウェートは36%、日経レバレッジETFの保有比率30%の実質ロング比率は60%でロングは合計96%。これに対し日経ダブルインバースETFの保有比率10%の実質ロング比率は-20%、純金ETF5%は株式とは逆の動きをするため、これらのロング比率は-25%。トータルでは71%のロングポジションである。2月末の61%からアップした。

3月の日米市場も大きな下落に見舞われて年初来安値を更新した。米中貿易戦争とメディアにはやし立てられ、総悲観に支配されるムードとなった。2月の米国株の下落の引き金となった金利上昇は2.7%台まで下がり落ち着きを取り戻したが、ほとんど無視される形となった。月末においてのポジティブな動きとしては、北朝鮮の電撃的中国訪問、4/27の南北首脳会談の決定が挙げられる。「北朝鮮は時間稼ぎ」との見方もあるが、中国、韓国、米国そして日本とも首脳会談をおこなう可能性が出てきたことは、従来の恐怖政治から方向転換する兆しと捉えていいだろう。為替が円安に逆戻りするカタリストとなっている。

「ファンダメンタルズからみた株価水準は売られ過ぎ」と再三指摘してきたが、4月に入ってマーケットは回復トレンドになっており、日経平均は久々に22000円台を奪回している。マーケットコンセンサスであった「一段の円高」が完全に崩れ「日経平均2万円割れ」という悲観論もアテが外れている。これまでマーケットに不安を与えていた貿易摩擦問題、北朝鮮やシリアといった地政学的リスクが後退しており、悲観ムードから脱却しつつある。先週から始まった米国企業の決算は概ね好調であり、企業業績への期待も高まっている。

いよいよ今週からは日本企業の決算発表が来週から本格化する。先週いくつか発表された製造業の決算を見る限り「為替の前提は円高であるものの増益増収」との予想が目につくため、2018年度の企業業績予想は増益で出てくる可能性が高まっている。これはマーケットにとってかなりの安心感をもたらすと言えるだろう。保有銘柄の業績動向をしっかり確認しつつ、新たなる投資のチャンスを掘り起こしてパフォーマンスの向上に努めたい。

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