日本市場にとって12月は正念場に
11月も今日で最後。明日からは12月ということで師走である。クリスマスツリーを飾って、浮かれた感じを味わっているうちに忙しい年末である。寒さが厳しくなり、インフルエンザが流行し始めているので、くれぐれもご留意いただきたいと思う。さて、遅くなったが10月のポートフォリオの状況ならびに近況について記したい。
10月のマーケットは米国の小幅下落に対して、日本は反発する展開となった。
米国市場は3カ月続落。9月の雇用統計は+15.6万人と予想の+18万を下回り失業率も3か月ぶりに悪化。一方、9月の製造業・非製造業景況感指数は前月より改善し予想を上回る。企業決算は堅調。ECBの金融緩和政策縮小への思惑から欧米金利が上昇し重荷に。米長期金利は月間で1.59%から1.82%へ上昇10月のNYダウは18142ドルと前月より166ドル下落し月間騰落率は-0.9%。ナスダックは5189となり123ポイント下落の-2.3%となった。
東京市場は大幅反発。世界的な金利の上昇により円高が反転して円安傾向を好感。欧米株の上昇を受け日経平均は半年ぶりの高値に。米大統領選の3回のTV討論会は無事終了しクリントン氏の優勢が強まる。本格的な発表を迎えた企業業績はまちまちで選別色。売買代金は低空飛行が続くものの月末は3兆円超えなりと久々の活況に。為替は先月末の101.00円から今月末は104.80円へ。9月の日経平均は17425円で取引を終え、9月末の16449円から975円上昇し月間騰落率は+5.9%、Topixは+5.3%となった。一方、小型株市場はジャスダック平均が+3.9%、マザーズ指数は-1.3%と低調であった。
太田忠投資評価研究所のインターネットによる個人投資家向け「投資実践コース」 における10月のパフォーマンスは-1.5%となり、年初来-7.8%、累計では+133.4%(9月末+137.0%)とやや後退。10月末時点のポートフォリオの株式比率は41%で15銘柄を保有(9月末は50%で15銘柄を保有)。株式部分の含み益は+9.8%(9月末は+10.1%)。ただし、41%のうちダブルインバースETFの投資比率15%の実質ロング比率は-30%、純金ETFの5%は株式ではないため、純粋の株式のロングウェートは41%ではなく-14%である。9月末からのショートポジションは16ポイント低下した。
10月は月後半にかけて日経平均は17000円台を一度も割ることなく緩やかな上昇をキープした。また為替が105円台付近まで円安になったことで買い安心感が出てきている。日銀のETF買いも株価の下落日には707億円入り「マーケットは下げない」という楽観ムードに包まれている。2Qの決算発表は日本電産や富士通のように健闘している企業もあるが、多くの企業で下方修正が見られる。製造業だけにとどまらず消費関連でも不振な企業が見られ、東証一部企業のEPSは下落傾向となっている。
ところが、11月に入りトランプ氏が大統領になることが決定し、開票日の時間帯のみ世界の株式市場はネガティブに反応したものの、その後は「トランプ勝利⇒円高・株安」というシナリオが完全に崩れており、「財政出動・減税⇒ドル高・金利上昇⇒債券安・株高」の流れになっている。大統領選挙前までの売買代金は連日2兆円割れであったが、現在は2.5兆円程度まで増加しており、外国人投資家が牽引している。一方、売り手は個人投資家と年金という構図である。
現時点においてもトランプ相場による熱狂が続いている。過度に投機的な動きが強いためこのままの動きが継続するとは考えづらい。金融株の上昇が止まったことには注意が必要だ。また、米国の長期金利が2.50%を超えると株式市場がピークアウトする可能性があることにも留意。
12月は今年の日本市場が陽転するかどうか、為替の円安傾向が続くかどうか、低調な動きが続く新興市場にも物色が広がるかどうか、など今後の先行きを占う上で非常に重要な月となるだろう。
トランプ氏が来年の1/20に大統領就任となるが、それまでの間は楽観的シナリオが自由に描ける。さらに投機的な円安・株高が進む可能性があるため、ポートフォリオのポジションは現在ニュートラルにしているが、基本的には楽観的相場に半信半疑であるため、保守的な運用を継続する。
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