マーケットは水準訂正の局面入り

2014/05/27

新緑の季節もそろそろ終わり、夏の気配が漂ってきている。真夏日が観測される地点も出てきており、いよいよ蒸し暑い気候に突入だ。

日本株市場も下値固めから、徐々に水準訂正の局面に入っており、年初から5ヶ月弱にも及ぶ調整が終わろうとしている。さて、まずは4月のモデルポートフォリオのご報告から。
4月のマーケットは米国市場が続伸したのに対し、日本市場は大幅続落となった。

米国市場は3ヵ月連続上昇。3月の雇用統計が+19.2万人と予想の+20万人をやや下回ったことや四半期決算発表を前にして上旬は大幅にマーケットが下落し、NYダウは一時16026ドルまで売られた。その後シティグループ、コカ・コーラ、アップルなど主要企業の決算が概ね好調であったことから買い戻され、4/30には12/31に付けた過去最高値を更新した。米マクロ経済指標も堅調なものが多いことに加え、中国の1-3月のGDPが+7.4%と市場コンセンサスを上回り安堵感が広がった。また、FOMCでは事前予想どおり5月からの証券購入額は550億ドルから450億ドルに削減され、景気判断が上方修正されたことも好感。4月末におけるダウは16580ドルと前月より123ドル上昇し月間騰落率は+0.7%。ナスダックは4114ドルとなり84ドル下落の-2.0%となった。

日本市場は大きく下落し今年に入り4ヵ月続落。上旬こそ日経平均は3/11以来の15000円台を回復し反発機運が高まっていたが、米雇用統計の未達や日銀の金融緩和策が現状維持にとどまり「追加緩和は必要なし」との判断が示されたことで失望売りに。一時は年初来安値の13910円を付け、為替も対ドルで104円台から一気に101円台にまで進んだ。その後は再び戻りを試すものの上値が重く、売買代金も連日2兆円を切り買いエネルギーは低下。決算発表においても15/3期の予想数字は慎重なものが多く、減益決算予想の企業は容赦なく売られた。4月の日経平均は14304円で取引を終え、3月末の14827円から523円下落し月間騰落率は-3.5%。また、Topixは-3.4%下落した。一方、小型株市場はジャスダック平均が-2.5%、マザーズ指数は-9.1%となりマザーズ市場の厳しさが目立った。

太田忠投資評価研究所のインターネットによる個人投資家向け「投資実践コース」における4月のパフォーマンスは-4.3%となり、年初来は-13.7%(3月末-9.8%)、累計では+107.1%(3月末+116.3%)と後退した。保有株式のウェートは3月末の69%から68%へやや下落。ヘッジ戦略をおこなっていないため、ネットロング比率は68%となった。

4月は米国市場がとうとう過去最高値を更新する好条件となったにもかかわらず、日本市場は一時年初来安値を更新する対照的な展開となった。

日銀の追加的金融緩和策が見送られているため為替水準は円安に進まず、15/3期の業績予想も保守的なものが多く、ウクライナや中国の不透明感が継続しているため、積極的な買い材料が見当たらない。出戻り局面にもかかわらず、上値が非常に重い状況にある。

とはいうものの、良い兆しが出てきた。決算発表後の個別銘柄の株価の動きがファンダメンタルズを反映するものになってきているからである。15/3期の業績予想が堅調な銘柄は大きく買い直されている。加えて、4月の消費増税による悪影響は思ったほど出ていないのも良い兆候である。

NY市場が相変わらず堅調であることに加えて、6月の日本市場はアベノミクスの第三の矢の発表や、年金基金GPIFのポートフォリオ見直しに伴う日本株比率の引き上げが検討されている。第三の矢の大きなポイントの1つに法人税率の引き下げがある。現在35%の税率が5年かけて20%台後半まで引き下げる案が有力となっており、実施されれば外国人投資家の注目度は高まることが予想される。2014年の日本市場は1月から5ヵ月にわたって右肩下がりの調整局面を続けてきたが、マーケットの反転に備えるべき局面に差し掛かっている。今年初めてとなる上昇局面の波にきちんと乗ることが大事だ。

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