年初来安値の見極め局面に突入

2011/10/05

いよいよ10月に突入し、今年もあと残すところ3ヵ月。1年は決して短い時間ではないが、後半に入ると時間の流れが加速するとの感じを抱くのは私だけではあるまい。あっという間に年末に突入しそうである。

さて、9月のマーケットも下落基調は変わらず。世界の株式市場が年初来安値を更新する展開となった。

米国市場はボラティリティの高い状況が継続し、5ヵ月続落。7-9月のNYダウは1500ドルの下げを記録し、08年10-12月の2074ドル下落以来の大きさとなった。ギリシャ問題が再度大きくクローズアップされ、波乱の元凶となった。追加金融支援への期待が高まるものの相変わらずのデフォルト懸念は打ち消されることがなく、月末にはギリシャの税務当局がストをする異例の展開となり、売りを誘った。マクロ経済指標は小売売上高、景況感指数、住宅着工戸数などが市場予想を下回り景気減速への懸念が高まった。9月のダウは10913ドルで取引を終え600ドル下落し月間の騰落率は-6.0%。ナスダックは2415ドルとなり164ドル下落の-6.4%となった。

日本市場も売られる展開となり、日経平均は9/26には年初来安値を更新して8374円をつけた。ギリシャ不安やイタリアの格下げに絡む欧州債務問題、世界経済減速懸念、継続する円高基調の三重苦の構造は変わらず。トヨタ、ホンダ、ソニーといった国際優良株は今月も安値を更新。売買代金も相変わらず1.1~1.2兆円レベルが継続。今月の日経平均は255円下落の8700円にて終了し月間騰落率は-2.8%、Topixは-1.2%となった。一方、小型株市場はジャスダック平均が-4.0%、マザーズ指数は-10.8%となり、小型株の下落が目立った。唯一明るい話題としては楽天が5年5か月ぶりの高値を更新したことである。

太田忠投資評価研究所のインターネットによる個人投資家向け「投資実践コース」における9月のモデルポートフォリオのパフォーマンスは-2.0%で着地。2011年の年初来では+4.8%となり、日経平均-14.9%、Topix-15.3%、ジャスダック平均-6.9%など主要指数を相変わらず凌駕している。累計のパフォーマンスでは+44.1%。東日本大震災によるクラッシュはあったものの、今年は6月末までに+10%レベルまでパフォーマンスを積み上げ、貯金を減らしつつも7月以降は非常に慎重な姿勢で株式投資比率を低位に保つ時間的分散投資の効果が鮮明に働いている。9月末の株式投資ウェートはわずか28%しかない。

株式市場に明るさが戻らない。米国市場は5ヵ月連続安、日本市場も年初来安値更新という中にあって、まだギリシャ問題ならびに欧州債務問題の出口が見出せない状況が続いている。10月もしばらくは不透明感の強い状況が継続することが予想される。

ここからは年初来安値を見極めていく局面だと私は考えている。ファンダメンタルズの実力値を大幅に下回る銘柄があまりにも増えたため、単に「割安」だからという理由で誰も投資しなくなった。毎日、「懸念」と「やや安心」を繰り返すギリシャ問題が決着しない限り、買戻しは起こらないだろう。

さらなるダウンサイドリスクに備えつつも、70%強のキャッシュポジションの出番をじっくり待つというのが現在の弊社のスタンスである。ご興味のある方はこちらをどうぞ。

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太田忠投資評価研究所株式会社
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