ボックス圏から抜け出せない夏枯れ相場
いよいよお盆も終わり。全国のあちらこちらで風物詩ともいえる「渋滞ラッシュ」の長い列も解消した。今年は6年ぶりに日本最高気温の記録が出たが、まだ1ヶ月は高温が続くようである。くれぐれも熱中症には注意しよう。
さて、遅くなったが7月のモデルポートフォリオのご報告ならびに近況についてである。
7月のマーケットは米国市場が上昇したのに対して、日本市場は不安定な動きとなった。
米国市場は反発。6月の雇用統計が+19.5万人と事前予想の+16万人を上回ったことを皮切りに、マクロ経済指標は概ね良好で景気に対する先行きに明るさが見られた。加えて、2Qの企業決算も金融やIT関連銘柄を中心に予想を上回るものが多かった。FRBによる早期の量的金融緩和縮小懸念が続いていたが、従来の9月スタートではなく後ろ倒しになるとの見方が優勢になったことも買い安心感につながった。NYダウは7/24に過去最高値となる15567ドルをつけた。7月のダウは15499ドルとなり590ドル上昇し月間の騰落率は+4.0%。ナスダックは3626ドルとなり223ドル上昇の+6.6%となった。ナスダックのこの水準は72000/9/28以来、12年10ヶ月ぶりの高値である。
日本市場は3ヵ月連続の下落。7月が始まってからは一貫して反発を続けていたが、7/23の日経平均14778円を高値として後半は急激に大きく崩れた。為替は一時対ドル101円台まで円安が進んだが、米国金融緩和の長期化観測で97円台まで円高が進んだのが嫌気された。加えて、1Qの決算発表は全般的にさほど悪くはないが、業績未達やサプライズの乏しい企業は大きく値を崩すものが多かった。売買代金は2兆円程度での推移にとどまり、取引はやや低調となった。7月の日経平均は13668円で取引を終え、先月末の13677円から9円下落し月間騰落率は-0.1%、Topixは-0.2%となった。一方、小型株市場はジャスダック平均が+3.3%、マザーズ指数は+12.5%となり先月の急落からは反発した。
太田忠投資評価研究所のインターネットによる個人投資家向け「投資実践コース」における7月のパフォーマンスは-0.2%となり、年初来は+21.3%(6月末+21.6%)、累計では+93.5%(6月末+94.0%)とやや後退した。保有株式のウェートは6月末の85%から87%へアップ。ヘッジ戦略は現在おこなっていないため、ネットロング比率は6月末の85%から87%へ上昇。
7月は戻りを試す局面かと思われたが、後半に大きく崩れた。米国の金融緩和策長期化の見通しが強まり「ドル売り、円買い」の展開となったため、日本マーケットにとって逆風となった。日経平均は直近高値の7/23の14778円から下落し、7月末には13677円と1100円も下落した。
8月に入ってからは、為替が95円台に進み、先物の仕掛け的な売りもあって日経平均は8/12に13519円まで下落。8月は13500円~14000円のボックスレンジでの取引が続いている。売買代金もお盆の週の8/12~8/16は5日連続2兆円割れと今年最低の取引となった。
最近の懸念材料はやや下げが目立ってきた米国市場の動向である。再び量的金融緩和を巡って神経質な状況となってきているので注視する必要がある。
9月はFOMCの行方、消費税導入の行方、加えてオリンピック開催地の決定と重要なイベントが控えており、マーケットに動きが出てくるだろう。非常に重要な局面が近づいている。アベノミクス相場が試される正念場になるだろう。
なお、8月に日本経済新聞出版社より新刊本を発売した。
『株が上がっても下がっても しっかり稼ぐ投資のルール』(太田忠、日経ビジネス人文庫)
サブタイトルは「バイ・アンド・ホールドを超えて」であるが、もはや右肩上がりに頼ることのできない相場環境の中でどのように株式投資にて資産形成をおこなっていくか、というのがテーマである。ご興味のある方はどうぞ。