「休むも相場」のマーケット

2021/08/27

いよいよ8月も終わりに近づいた。無事にオリンピックが終了し、パラリンピックも幕開けとなったが、おそらく皆さんの心中は複雑なのではないか? デルタ株の猛威で日本全国にコロナ感染が蔓延し、1日あたりの新規感染者数は公称2万人だが、明らかに検査数が足りておらず本来はもっと多いはずだ。入院すべき感染者も病床・療養施設の不足でほとんど入院できておらず、これまで経験したことのない家庭内感染の広まりを見せている。とにかく、個人個人で2回のワクチン接種を終える努力をし、できる限り外出を控え、自己防衛に努めることが肝要だ。さて遅くなったが、7月のポートフォリオの状況ならびに8月の近況について記したい。

7月のマーケットは米国市場の上昇に対して、日本市場は下落する展開となった。

米国市場は反発し、主要3指数は揃って過去最高値を更新。6月の雇用統計は+85万人と予想の+70.6万人を上回り、失業率は5.9%と先月から0.1ポイント上昇。雇用改善が続く一方で、テーパリングの開始を前倒しする内容ではないと受け止められる。4-6月決算は概ね好調。週間の新規失業保険申請件数は昨年3月以降で最低水準に。原油は76ドル台と2年9か月ぶりの高値にとなる一方、長期金利は一時1.25%まで下落。インド変異株がアジアで拡大し、米国でも1日あたりの新規感染者数が3万人近くに増加。下旬には中国政府によるインターネット企業への規制強化や香港株・上海株が大幅安となったことから投資家心理の重荷に。7月のNYダウは34935ドルと前月より432ドル上昇し月間騰落率は+1.3%。ナスダックは14672となり168ポイント上昇の+1.2%となった。

東京市場は大幅続落し、日経平均は28000円割れ。世界のコロナ感染再拡大や東京で4度目の緊急事態宣言発令を受けてリスクオフムード。東京でのコロナ感染者急増にとどまらず、全国で5000人を超える新規感染者となり第5波の様相。また6月のPMIが製造業・非製造業ともに前月割れとなった中国経済への先行き不透明感から売り優勢。為替は先月末の110.45円から今月末は109.50円と円高に。売買代金は2.3兆円程度と商い低調。7月の日経平均は27283円で取引を終え、6月末の28791円から1507円下落し月間騰落率は-5.2%、Topixは-2.2%となった。一方、小型株市場はジャスダック平均が-1.1%、マザーズ指数は-10.1%となった。

太田忠投資評価研究所のインターネットによる個人投資家向け「投資実践コース」 における7月のパフォーマンスは-2.5%となり、年初来+10.6%、累計では+232.3%(6月末+240.9%)となった。7月末時点のポートフォリオの株式比率は84%で32銘柄を保有(6月末は85%で33銘柄を保有)。株式部分の含み益は+73.1%(6月末は+77.1%)。ただし、84%のうち現物株のウェートは50%、日経レバレッジETFの保有比率20%の実質ロング比率は40%でロングは合計90%。これに対し日経ダブルインバースETFの保有比率10%の実質ロング比率は-20%、純金ETF5%は株式とは逆の動きをするため、これらのロング比率は-25%。トータルでは65%のロングポジションである。

8月に入ってからも米国市場は相変わらず最高値更新となっているのに対して、日本市場は冴えない展開となっている。「米国株好調vs日本株不振」の最大の要因は、やはり日本で初めて欧米と同様のパンデミックの様相を初めて体験していることが大きい。欧米ではすでに昨年経験済みであり、かつ早期のワクチン接種で経済再開に漕ぎつけている。米国の4-6月のGDPはコロナ前の水準を早くも回復し、企業業績も堅調である。一方、パンデミックに直面する日本は今後の景気動向に対して自信が持てない状況であり、それが日米間の株価格差になっている。NYダウと日経平均の単純な株価格差は通常3000ポイント程度であるが、現時点で7600ポイントも開いており、過去最大のレベルにまで格差が開いている。日経平均は年初来のパフォーマンスが一時マイナスを記録するという状況だ。グロース銘柄の多いマザーズに至っては2ケタのマイナスだ。

今後はテーパリングをにらんだ動きが予想される。当初は「来年の初め頃」と言われていたが、最近発表されたFOMCの議事録を見ると「年内スタートが望ましい」ということで前倒しの可能性がある。9/3発表の8月雇用統計を受けて、9月下旬の次回のFOMCで結論が出される可能性が高い。通常、テーパリング前後は株価調整の局面となるのでその点は注意が必要だ。しかし、その後景気拡大路線が続けば業績相場の中でマーケットは再び上昇が期待される。特に、出遅れ感の強い日本株は高いパフォーマンスが期待される。現在の日経平均のPERは13倍だが、アベノミクス相場後の平均PER15倍まで回復すれば、それだけで日経平均は31800円レベルとなる。

株式市場全体的にダウンサイドリスクが高まってきているため、しばらくは慎重姿勢が賢明だ。今は「休むも相場なり」の局面である。

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