業績相場では何が起こるか?

早いもので今年も半分が経過。月日の経つのはいつも早い早いと思っているが、コロナ禍になってからは余計に加速感を感じる。結局、東京オリンピックは開催の運びとなったが、インド株およびインド株の変異種が、ワクチン接種の進んでいる国々でも急激に感染が広まっており懸念されている。ましてや、日本の接種状況は心もとない状況だ。私は世田谷区に住んでいるが、いまだに接種券が送られてくる気配はなく、実際に2回の接種が終わるのはひょっとして来年になるのではないか、と思っている。さて遅くなったが、5月のポートフォリオの状況ならびに6月の近況について記したい。

5月のマーケットは日米市場とも上昇する展開となった。

米国市場は4ヶ月続伸。NYダウは過去最高を更新。4月の雇用統計は+26.6万人と予想の+100万人を大きく下回り、失業率は6.1%と0.1ポイント上昇。FRBによる金融緩和長期化の観測が広がる。一方、4月の製造業、非製造業景況感指数はともに60を超え好調を維持。1-3月の主要500社のEPSは+50%と急回復。消費者物価指数の上昇によるインフレ懸念から長期金利は1.7%台まで上昇。ビットコインは一時30%安と急落し、月末にかけて株式市場にも売り圧力が強まる。5月のNYダウは34529ドルと前月より654ドル上昇し月間騰落率は+1.9%。ナスダックは13748となり213ポイント下落の-1.5%となった。

東京市場も小幅続伸。米国でのインフレ懸念やハイテク株下落の流れを受けて、急速にボラティリティが高まる。台湾やシンガポールで新型コロナが再拡大していることも重荷に。一方で、コロナワクチンの大規模接種が東京・大阪で始まり買い安心感。緊急事態宣言の延長決定による悪影響は限定的。為替は先月末の108.85円から今月末は109.80円と円安に。売買代金は2.8兆円程度と商い盛り返す。5月の日経平均は28860円で取引を終え、4月末の28812円から47円上昇し月間騰落率は+0.2%、Topixは+1.3%となった。一方、小型株市場はジャスダック平均が-0.1%、マザーズ指数は-4.3%となった。

太田忠投資評価研究所のインターネットによる個人投資家向け「投資実践コース」 における5月のパフォーマンスは+1.5%となり、年初来+9.6%、累計では+229.3%(4月末+224.5%)とやや前進。5月末時点のポートフォリオの株式比率は83%で33銘柄を保有(4月末は84%で33銘柄を保有)。株式部分の含み益は+71.5%(4月末は+70.0%)。ただし、83%のうち現物株のウェートは49%、日経レバレッジETFの保有比率20%の実質ロング比率は40%でロングは合計89%。これに対し日経ダブルインバースETFの保有比率10%の実質ロング比率は-20%、純金ETF5%は株式とは逆の動きをするため、これらのロング比率は-25%。トータルでは63%のロングポジションである。

5月は例年GW直後の日本市場が急落するというケースが目立っているが、今年は杞憂に終わった。しかしながらその翌週に1週遅れで大きな激震が走った。最大の要因は米国でのインフレ懸念による長期金利の上昇、さらには現状の金融緩和政策修正への懸念である。世界経済は各国で再開が本格化しており、景況感については好調であるが、金融政策への不安が水を差す形となった。

株式市場において最も影響を与えるファクターは景気や景況感、業績動向ではなく、今や金利政策である。仮に不況であったとしても、金融緩和がおこなわれていればマーケットに流れるマネーが株式市場を下支えしてくれる。だがその逆に、たとえ経済が順調に回復していても、マネーが収縮すれば一気に株式市場は厳しくなる。その現象が端的に現れたのが5月の動きである。したがって、先月のレポートで述べた『金融相場から卒業しつつあるマーケット』になっており、「金融相場から業績相場への移行期」に差し掛かっている。

こういう時期は6/21に日経平均が953円安と急落したように今後の金融政策への思惑を巡ってボラティリティが高まるのが特徴だ。今後の「テーパリングショック」や「政策金利引き上げ初動ショック」は覚悟しておかねばならないだろう。一方、コロナ収束を見据えて世界的に経済活動が活発化する動きが鮮明である。業績相場に入れば、もちろん株式市場の再上昇局面に入ることが予想されるため、基本的には上昇トレンドが継続しそうだ。

金融相場から業績相場へ移行すれば「何が起こり」「相場の牽引役がどう変わっていくのか?」 これを考えておく必要がある。以下に簡単にまとめると、このようなことが想定される。

① 相場全体の上昇スピードは緩やかになる ⇒ 個別銘柄で勝負

② 業績の裏付けが絶対に必要 ⇒ 銘柄の選別ポイント

③ 高バリュエーション&理想買いの是正
⇒ 好業績でもバリュエーション維持が困難 & 単なる期待値買いは消滅

④ これまで脚光を浴びていなかった銘柄の復活

ポストコロナ銘柄・・・コロナ後の先を見据える

バリュー銘柄・・・景気敏感・割安・高配当利回り

金利上昇恩恵銘柄・・・金融セクターを見直す

以上のようなことが起こりそうだ。なお、まだバリュエーションの低い半導体関連やハイテク関連なども持続の可能性は大いにある。

なお、もうひとつ指摘したいのが銘柄選択だけでは相場を乗り切れない、という点だ。従来から述べているリスク管理をしっかりとおこない、「損失は小さく、利益は大きく刈り取る」という投資の枠組みが大事になってくるだろう。

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