良い兆候が出てきた小型成長株の動きに注目

いよいよ9月も終わりである。千葉県に大きな住宅被害や大規模停電と断水を引き起こした台風15号は本当に痛ましかった。「備えあれば憂いなし」を実行すれば自然災害にも十分対応できると考えてきたが、人知を超えたことが頻発する世の中である。何でも解決できる…という考えは自然の前では通用しなくなってきたと思うようになってきている。さて遅くなったが、8月のポートフォリオの状況ならびに9月の近況について記したい。

8月のマーケットは日米市場ともに下落する展開となった。

米国市場は3か月ぶりに反落。FRBが0.25%の利下げを発表したがパウエル議長が「長期的な利下げ局面が始まったわけではない」と述べて失望感。膠着する米中貿易協議を受けて、トランプ大統領が第4弾の追加関税を表明したため景気への先行き不安が高まり、8/5のNYダウは767ドル安。10年債と2年債の長短金利が12年ぶりに逆転し、景気先行き懸念から8/14は800ドル安と今年最大の下げを記録。長期金利は1.47%まで低下。7月の中国の工業生産は10年半ぶりの低水準。8月のNYダウは26403ドルと前月より460ドル下落し月間騰落率は-1.7%。ナスダックは7962となり212ポイント下落の-2.6%となった。

東京市場も3か月ぶりに反落。米国株下落と中国への関税強化で投資家心理が悪化。8/2の日経平均は453円安と令和に入って最大の下げ。追加関税のニュースによりわずか1日で2円も円高となり105円ちょうどのレベルまで買われる。日経平均は20260円まで売られ7ヶ月半ぶりの安値。その後は徐々に買い戻しが広がる形に。4-6月GDPは年率+1.8%と予想を上回りやや安心感。為替は先月末の108.60円から今月末は106.45円へ。売買代金は2兆円程度と閑散続く。8月の日経平均は20704円で取引を終え、7月末の21521円から817円下落し月間騰落率は-3.8%、Topixは-3.4%となった。一方、小型株市場はジャスダック平均が-4.2%、マザーズ指数は-7.0%となった。

太田忠投資評価研究所のインターネットによる個人投資家向け「投資実践コース」 における8月のパフォーマンスは-3.5%となり、年初来+0.2%、累計では+133.9%(7月末+142.4%)と後退。8月末時点のポートフォリオの株式比率は68%で24銘柄を保有(7月末は70%で25銘柄を保有)。株式部分の含み益は+12.9%(7月末は+19.2%)。ただし、68%のうち現物株のウェートは34%、日経レバレッジETFの保有比率20%の実質ロング比率は40%でロングは合計74%。これに対し日経ダブルインバースETFの保有比率10%の実質ロング比率は-20%、純金ETF5%は株式とは逆の動きをするため、これらのロング比率は-25%。トータルでは49%のロングポジションである。

8月の日米市場は大きく下落する展開となった。FRBによる0.25%の利下げで材料出尽くし感が広がったことに加えて、不意打ちのように表明された中国への第4弾の追加関税により景気先行き懸念が再燃。米国の長期金利が大きく低下したことでドル売り・円買いを誘発したことも日本株にとっては逆風だった。日本企業の1Qの決算は製造業の減益が目立ったもののほぼ想定の範囲で着地。本レポートで度々指摘してきた日米株価格差の拡大が落ち着いてきたことはポジティブである。5500ポイントを挟んだレベルで推移しており、「ある程度の景気後退はすでに織り込み済み」「日経平均は容易に2万円を割らない状況」「個別銘柄の株価の動きは堅調」と指摘したように、しばらくはマーケットに期待できないものの、個別銘柄選別によりパフォーマンスを上げる戦略が重要である。

9月のマーケットは一転して日米市場とも大きく反発。10月からの米中貿易協議の再開が決まり買い優勢となっている。NYダウは27000ドル台を回復し過去最高値圏、日経平均も22000円台乗せとなった。最近の弊社の投資講座のレポートで指摘しているのが「当面の動向として重要なのが小型株の動き」「グロース系銘柄の株価の動きが徐々に出てきている」という点である。本格的な上昇の兆候までは感じられないためロングポジションを増やすほどの強気にはなれないが、非常に重要なポイントである。小型株の動向を本格的な強気スタンス転換へのバロメーターとしてウオッチしていきたい。

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