Big Story世界情勢と日本株式をめぐる投資環境

2016/08/12

【投資ストラテジーの焦点(300号)】

(1) はじめに~技術の発展と分業の深化、生産性上昇のトレンドは不変

空前の生産性上昇時代

今、何が起こっていて、将来どうなる可能性が強いのか。恐らくどの専門家、どのメディア、どの学者に聞いても将来は五里霧中という状況だと思う。非常に暗い見通しを言う者もいるし、明るい見通しを言う者もいるが、何が起こっているか、どこに向かっているのかさっぱりわからないというのが今の情勢である。前人未到の新しい時代に入って、過去の経験が通用しない。学問も過去の経験に基づいて成り立った理屈が当てはまらなくなっている。従って、少々無謀でも自分なりの仮説を作ってチャレンジするしかない。我々の投資も企業経営も、更には国の政策も、歴史に基づいてこれが正しいと言う経験がないのだから、仮説に基づくチャレンジが必要になってきている。私自身は非常に明るい将来の入り口に立っていると考える。他方、非常に暗い将来の転換点だという人もいる。その判断の大きな分かれ道はどういうことなのだろうか。

まず非常にスパンを長くとって人類の歴史を振り返ってみよう。一万年前、十万年前は獣と同じような劣悪な生活水準を続け、毎日飢餓を恐怖に苛まれていたのが我々の先祖である。その子孫である我々は王様や貴族のようなゴージャスな日々を送っている。この変化が何によって可能になったのか、二つの推進力があったと考えられる。その一つは技術の発展とその結果もたらされる生産性の劇的な上昇である。何百万年もほとんど生産性の変化がなかった人類が、技術のおかげで突如一万年の間に農業革命以降、劇的な生産性の上昇を遂げ、我々の生活を著しくゴージャスにしてくれた。もう一つ人類の発展を支えた要素は分業の発展である。先祖はロビンソンクルーソーのように一人であらゆる生活資源を調達していた。今我々は多くの人々の助けを借りて、大きな分業の中で生活が成り立っている。我々はアメリカ、中国、ヨーロッパなどグローバルにモノを調達しないと何もできない。国際的な通商が途絶えたなら生活できない。分業の発展が人類経済をここまでの高みに押し上げたもう一つの要素である。分業の発展を振り返ってみると、つい100年前までは日本も小さな藩に分かれて、経済は藩の中の自給自足であった。しかし藩がなくなり、日本という一国経済圏が成立したのもあっという間で、今やグローバル経済が一体化、国際分業深化して、各国経済は相互依存を強めている。日々海外からモノを取り入れ、生活が成り立っている。我々が作っているモノも海外に送る。

問題はこの技術・生産性の進化と分業の発展が終わったのかどうかである。終わったとするなら将来は暗い。しかし終わったどころか、今まで以上のスピードで技術の発展が進行している。スマートフォン、クラウドコンピューティング、或いはAIやロボットなどの技術は劇的なビジネス環境や生活環境の変化をもたらしている。もう一つ人類の発展を支えた分業の発展つまりグローバリゼーションも不可逆的な流れだ。二つの流れが止まることがないとすれば、人類の発展と望ましい追い風を受けて、望ましい経済と生活支援の向上トレンドの最中にあるはずである。

 

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