株価が審判官 ~岸田ショック、植田ショック、石破ショックの意味するもの~
【ストラテジーブレティン(365号)】
3度目のショック、緊縮路線のキャンセルで市場安定化へ
またまた日本株式は政策選択を理由とする株価ショックに襲われた。9月27日の自民党総裁選挙では、決選投票で1回目の投票で2番手であった石破氏がトップの高市氏を破って当選し、次期首相の地位を確かなものにした。一回目の投票では党員票でも国会議員票でも、アベノミクスの継承と高圧経済を主張する高市氏が、石破氏を上回っていた。東京市場27日(金)午後3時の後場終値は、高市氏の当選を確信して4万円目前の39892円まで上昇した。しかしその直後の石破氏当選により先物市場で日経平均株価が急落、シカゴCMEの日経平均先物価格は2467円安の37425円となっった。月曜日の株価急落は避けられない情勢である。人はこれを「石破ショック」と言うだろう。市場は石破氏の党執行部と組閣の行方、経済政策への新たなコミットメントを、かたずをのんで見守っている。
過去の株価ショックを振り返ってみよう。1回目は2021年9月29日の「岸田ショック」であった。金融所得課税を提起していた岸田氏が自民党総裁に就任したことにより株価が急落した(就任直前の30183円から1週間で27678円へ2500円、8%下落)。その後の金融所得課税取り止めで株価は下落前の水準に戻った。
2回目は今年7月31日の日銀利上げと植田総裁のタカ派発言に端を発する「植田ショック」で、日経平均株価は39101円(7/31)から3営業日後の31458円(8/5)まで7600円、20%の暴落となった。しかし翌週の内田副総裁による「市場が不安定な時に利上げはしない、時間は十分にある」との発言により、8日間で20%上昇しほぼ暴落前水準に戻った。