「もしトラ」の考察~トランプの挑戦は株高、ドル高要因か~
【ストラテジーブレティン(355号)】
選挙結果に予断は許されない。しかし「もしトラ」に関するお問い合わせが余りにも多いので、以下に論点を整理した。
(1) トランプ優勢の不思議
世界最大の政治経済イベント米国大統領選挙が早くも半年後に迫ってきた。驚くべきは天衣無縫のヤンチャものの印象が強烈なトランプ氏が再選される可能性が強いと伝えられていることである。4件の刑事訴追を受けており、5月30日には大統領経験者として初めて有罪評決を受けたが大統領選挙への悪影響は限定的と見られている。前回の大統領選挙でのバイデン勝利を盗まれたものと全く認めず、現大統領の正当性を頭から否定し続けているトランプ氏は、1年前までは死に体とすら見られていた。それが刑事訴追が始まると、政治的迫害を受けているというキャンペーンが功を奏し、かえって支持率が高まった。選挙勝敗の鍵を握る接戦7州(アリゾナ、ジョージア、ネバダ、ミシガン、ノースカロライナ、ペンシルベニア、ウィスコンシン)をみると、前回はバイデン氏が6勝したのに対して、今回は全ての州でトランプ氏が優勢との調査となっている。この情勢はメディアや専門家の予測を大きく覆すものである。何故であろうか。
雇用構造の大変化
米国の経済社会の底流で大きな構造変化が起きており、その変化に対するトランプ氏の果敢な挑戦が、有権者と嚙み合い始めている、と考えざるを得ない。明らかに米国経済社会には2つの変化が起きている。その第一はテクノロジーの進歩と国際分業の進展による雇用構造の変化と中間層の消失である
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